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「AIバブル崩壊」の可能性をマジで考えておこう 「2000年のあのとき」とかなり似通っている

東洋経済オンライン / 2024年3月16日 8時30分

さて、ここでは今後の株価が大きく下げるとしたらどんな理由によるか、を考えてみたい。上がる理由が読みたい人は、そろい踏みしている前出の週刊経済誌3誌を読まれることをお勧めする。筆者が読み比べたところ、いちばん充実していたのは(ヨイショではなく)『週刊東洋経済』であったことを申し添えておく(編集F氏も登場しているし)。

今後の日本株にとって警戒すべき最大要素は、何と言っても米国株の下落であろう。それというのも、前回の拙稿で筆者が言及した「アメリカのAIバブル懸念」について、英国の『エコノミスト』誌が詳しく取り上げてくれているからだ。3月2日号の”How high can markets go?”(株はどこまで上がるのか?) という論説は「株式市場の黄金時代は終わりが近いのではないか」と説いている。

同誌の以下のロジックは、大いに説得力があるのではないだろうか。

* 投資家を強気にしているのはAI(人工知能)に対する楽観論である。株価を押し上げたのは、2月22日に発表されたエヌビディアの決算だった。同社は人工知能モデルの学習に不可欠な半導体の市場を鉄壁に握っている。2022年10月、オープンAI社がチャットGPTをリリースする以前は、エヌビディアの利益の大半はゲームグラフィックス由来であった。その後、同社の株価は5倍に上昇したが、時価総額2兆ドルに押し上げた熱気は、ドットコムバブルのような誇張ではなく、冷徹な利益計算によるものだった。

* AIに対する極度の興奮は、マイクロソフトなど「マグニフィセント・セブン」と呼ばれるほかのハイテク株にも及んでいる。彼らはAIブームを信じてエヌビディア製のチップを買いあさっているが、多くのスタートアップ企業が分け前にありつこうとしているので、競争が今後の利益を抑制するはずだ。

* AIは経済全体の生産性を向上させる、というテクノ・オプティミズムもある。しかしほかの基礎的技術から得られる教訓は、それらを活用できるようになるまでには時間がかかるというものだ。今日の生成AIはまだ初期段階である。たとえいつかはAIが社会を変革するにしても、今日の投資家たちが儲かる企業を選別することは容易ではあるまい。ドットコムバブルの信者たちは、インターネットの革新力については間違っていなかった。しかし彼らは丸裸になったのである。

多くの人が忘れ去っている2000年のドットコムバブル

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