1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. 経済

「AIバブル崩壊」の可能性をマジで考えておこう 「2000年のあのとき」とかなり似通っている

東洋経済オンライン / 2024年3月16日 8時30分

今の米国株高に、リーマンショック以前の2007~2008年当時のような危うさがあるとは考えにくい。証券化商品により不動産バブルが見えなくなり、それには高い格付けがついていて、銀行にはモラルハザードがあって、結果的に砂上の楼閣ができていた、なんてことは今では考えにくい。

監視も厳しくなっているし、金融システムも以前より強靭になっている。何よりその後の国際金融危機の記憶は、なおも多くの人にとって鮮明である。ただし2000年のドットコム(IT)バブルは、多くの人が忘れ去っているのではないか。今のAIブームに当時と似たような構図があることは、どうも否定できないように思える。

思い出すのも懐かしいくらいだが、今から2回り前の辰年である2000年にドットコムバブルが崩壊した。

どこがドットコムバブルと似通っているか

当時の株高は、以下のような「幻想」や「興奮」や「大人の事情」が重なってもたらされたものであった。

① IT産業の勃興により、需給が完璧に一致してインフレのない「ニューエコノミー」が誕生したというビジョン
② クリック企業(新興のネットビジネス)がブリック企業(既存の大企業)を駆逐するという壮大なストーリー
③ (とくにキリスト教圏で強かった)「2000年」という新しいミレニアム(千年紀)を迎えたという高揚感(ユーフォリア)
④ Y2K(2000年問題)対策のために、各国中央銀行が市場に流動性を供給したことによる潤沢なマネー

これらを、現在のAIバブルに当てはめると、以下のようになる。かなり似通っていると言えないだろうか。

① AIが人類を超える知恵を有する(シンギュラリティ)ことで、新しい時代が始まるというビジョン
② 生成AIをめぐる開発競争のためには最先端の半導体を確保する必要があり、しかも経済安全保障の問題も乗り越える必要があるというストーリー
③ パンデミックにインフレに戦争、さらに「もしトラ」など、現実世界に問題は絶えないけれども、AIの世界は違うというユーフォリア
④ コロナ対策で行われた各国の積極的な金融財政政策の結果として、市場に余っていた潤沢なマネー

なぜドットコムバブルははじけたのか。ITが世界を変えるという夢は長い目で見れば間違いではなかったが、それには思ったより時間がかかった。

アップルがiPhoneを作り、アマゾン・ドットコムがクラウドサービスを始め、フェイスブック(現メタ・プラットフォームズ)やツイッター(現X)などのSNSが誕生し、世の中の仕組みは確かに変わった。そして今となっては、「マグニフィセント・セブン」の時価総額は途方もない金額となっている。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください