1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ
  4. ライフ総合

がん患者になった医師が教える「余命宣告」の意味 体力が低下しつつ、がんが進行したらどうなるのか

東洋経済オンライン / 2024年3月17日 16時0分

1日中フルで元気に活動する体力がないのなら、赤ちゃんの昼寝と同じように意識して休む時間をとるのです。

体力温存療法は次の通り、簡単です。まず時計を見ます。そして、1日のなかでも、午前中は元気に過ごせているなら、午後に少し休む時間をとるようにします。もちろんその逆で午前少し休んで、午後に動く時間をとるという方法もよいでしょう。

次にカレンダーを見ます。1週間のうち、例えば週末にお出かけをする人の場合は、平日は追加の予定を入れずに無理なく過ごします。このようにがんばる時間帯と、無理しないで過ごす時間帯を意識して日々を過ごす。1日中がんばろうとすると、体力が持たず、結果的に本来やりたいこともできず中途半端になってしまいます。

体力温存療法を実践することでゆとりを持って過ごせるようになるはずです。「何事も戦略的に、体力は計画的に」なのです。

がん患者が辿る体力低下の軌跡

さて、進行がんの患者さんが先の過ごし方を考えるときに、どうしても知っておいてほしいことがあります。それは、身体機能の軌跡についてです。
よく、患者さんはこれからどうなっていくのかわからないと心配されます。誰だって初めてのことですから、その不安は当然なことです。この先どうなっていくかという質問をされたとき、私は次のように答えています。

闘病で困ることのポイントは大きく2つです。1つ目は痛みなど病気の部位による身体のつらさです。これは痛み止めなどの治療でしっかり和らげることができるでしょう。

問題は2つ目です。がんは体力が弱っていく病気なので、どこかで歩くのが大変になり、食事を多く摂れなくなってくることがあります。これを回復させる方法はないので、介護など自宅でどう過ごすかという問題が生じます。

2つ目の問題、すなわち体力の落ち方には、がん患者さんならではの特徴があります。

図が示すように、がん患者さんはギリギリまで元気に、身の回りのことも自分でできて過ごせることがほとんどです。ただし、最期の1〜2カ月になると、急激に弱ってくるのです。

これはがん患者さん特有の体力の落ち方です。他の病気、例えば心臓肺疾患末期では急性憎悪を繰り返しながら、徐々に身体機能が低下していきますし、認知症の末期や老衰では身体機能低下の状態が長く続き、さらに最期の期間でゆっくりと経過していくという流れがあります。

ギリギリまで自分のやりたいことができる

他の病気と比較しつつ、がん患者さんの体力の落ち方の特徴を踏まえたときに2つの見方ができるでしょう。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください