地球外生命体「火星より木星で発見」期待高い根拠 天文学者が語る太陽系最大の惑星の知られざる姿
東洋経済オンライン / 2024年3月17日 15時0分
アメリカの民間宇宙開発企業スペースXのCEOであるイーロン・マスク氏が「火星移住計画」を公言するなど、何かと話題になることが多い火星。しかし、火星以外にも研究者の間で注目を集めている惑星があります。それは太陽系の中で最も大きい惑星・木星です。木星が注目される理由、その魅力について天文学者である平松正顕氏が語ります。
※本稿は『ウソみたいな宇宙の話を大学の先生に解説してもらいました。』より、一部抜粋・再構成のうえお届けします。
火星より先に木星のまわりで生命が見つかる?
地球以外に、生命を宿す星はあるのでしょうか。人類は昔から異世界を想像してきましたし、今も多くの研究者がその謎に挑んでいます。太陽系の中では、これまで火星での生命探査が注目されてきました。
過去には豊かな水をたたえた海があったことが確実視されていて、生命が存在していた証拠を探す探査も数多く行われています。しかし、火星だけに生命の可能性があるわけではありません。近年注目を浴びているのは、木星や土星を回る氷の衛星たちです。
中でも、木星の衛星エウロパは興味深い天体です。NASAはエウロパ・クリッパーという探査機を準備中ですし、欧州宇宙機関(ESA)が打ち上げた木星の氷衛星探査機JUICEもエウロパを詳しく探査する予定です。
ここまでエウロパが注目されている理由は、氷の表面の下に海があると考えられているからです。木星の軌道の大きさは、地球の軌道の大きさの約5倍。つまり太陽から遠く、その分温度も低くなります。普通なら天体は凍り付いてしまう環境です。
ところがエウロパは、木星の巨大な重力(潮汐力)を受けていて、エウロパ全体が伸び縮みしています。地球の海の満ち引きがあるのも月の潮汐力によるものですが、木星の潮汐力はそれよりずっと強いものです。これによってエウロパの内部が温められ、氷が解けて海になっているようなのです。
その証拠に、エウロパの表面にはクレーターがほとんどありません。これは、隕石が落下してクレーターができたとしても、内部の海から水がしみ出してきてクレーターを埋め、氷の表面がなめらかに保たれるためだと考えられています。
木星に生命が存在する可能性があると言える理由
ただし、地球のようにそこで生命が生まれ、命をつないでいくためには、水だけでは不十分です。例えば、地球上の多くの生き物は呼吸によって酸素を体に取り込んでいます。実は、エウロパには地球の気圧の1兆分の1というたいへん希薄な大気があり、その主成分は酸素なのです。
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