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「大量閉店」イトーヨーカ堂の運命を握る店の正体 時代の流れには勝てなかった総合スーパーの転機

東洋経済オンライン / 2024年3月17日 7時30分

イトーヨーカ堂(撮影:今井康一)

イトーヨーカ堂が北海道、東北、信越の17店舗を閉店すると2月に明らかになったことが、地域のマスコミなどを中心に、大きな話題となった。親会社であるセブン&アイ・ホールディングスの中期経営計画で公表されていた既定路線だったが、実際に具体的な店名が明らかになったことで、ネットニュースなどでも「イトーヨーカ堂の衰退」といったキャッチーなネタとして散発的に記事が出た。

【ランキングを見る】1994年の小売業ランキングではイトーヨーカ堂は2位

営業終了するうちの7店舗はロピアを擁するOICグループが一気に譲り受けるという。イトーヨーカ堂から今売り出し中のディスカウントスーパー、ロピアへの店舗譲渡という新旧交代は、小売業界の栄枯盛衰として象徴的な出来事だ。

セブン&アイが公表しているヨーカ堂再建策の骨子は、①首都圏特化、②食品特化、③アパレル撤退、④センター投資とその活用、の4つが柱になっている。これは、裏を返せば、①地方が不採算、②非食品売り場が不振、③特にアパレルがよくない、④生産性が低い、といった問題点があることを示している。

これまでの経緯を振り返りながら、なぜイトーヨーカ堂が苦戦しているのかみていくことにしよう。

右肩下がりが続いているヨーカ堂

イトーヨーカ堂の業績停滞は今に始まったことではない。次の図で明らかなとおり、かなり前から売り上げ、収益ともに右肩下がりが続いており、少しずつ店舗閉鎖を行いながら戦線縮小してきていた。

1998年度には1兆5000億円以上だった売上高は、2022年度で1兆円(総額売上高ベース)ちょっとと3分の2に減っているし、営業利益率は4%以上からおおむね右肩下がりで低下して、直近ではほとんど利益が出ない状態にまで落ち込んでいる。

その主要因は、粗利率が高い非食品(衣料品、日用雑貨等)が売れなくなって、いわゆる「2階以上の売り場」が儲からなくなった、ということになるだろう。次の表はヨーカ堂の2008年度と2022年度の粗利構成を比べたものだが、非食品の粗利額の減り方が大きいことは一目瞭然だろう。

イトーヨーカ堂が失った収益源

次ページの売り上げ構成の推移をみるとわかるが、非食品の売り上げが大きく減っていて、テナントに移行している。総合スーパーが流行っていたころは、購買頻度の高い食品で来店してもらい、粗利の高い衣料品を併せて買ってもらうことで利益を稼いでいた。イトーヨーカ堂もこの収益源を失ったことで業績が低迷するようになっていった。

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