長期投資、今始める人に教えたい「銘柄選び」のコツ 「値上がり益」に注意を向けてしまうと挫折する
東洋経済オンライン / 2024年3月18日 7時50分
もっと専門的に解説すれば、高配当利回りの銘柄は、その配当利回りの高さ自体が株価下落の抑止力となる。株価が一時的に下がれば配当利回りが上昇するため、あらたな投資マネーが入ってきて株価が戻る可能性がある。
増配があれば、購入した株価に対して配当利回りがさらに上がり、資産運用の効率性が高まる。増配がさらなる増配の期待を呼び、株価がさらに上昇するかもしれない。
つまり配当(インカムゲイン)狙いの投資は、それ以上の値上がり益(キャピタルゲイン)を得られる可能性を秘めている。
念のためにいえば、長期投資では一時的な値上がり益はメインのターゲットではない。サラリーマン風にいえば、原則、年2回の支払いがある配当が「給料」、値上がり益は会社の業績が良いときに支払われる「賞与(ボーナス)」という位置づけだ。
ボーナスを当てにして豊かな生活を送っていれば、不景気でボーナスが出ないときは生活が立ち行かなくなってしまう。株式投資も同じだ。ボーナスばかりを気にすることは、投資ではなく投機、ギャンブルである。
配当金の獲得だけを目標にして、値上がり益はその存在自体を忘れてしまうことだ。巷間言われている「ほったらかし投資」だ。
値上がり益に少しでも注意が向くようになると、株式投資は必ず挫折する。失敗する。これが、私の経験から得た教訓だ。
なぜ業界トップ企業が長期投資に向くのか
最近は配当の支払い金額を業績に連動させる企業が増えている。大企業といえども、不況で業績が悪化した場合は減配になる可能性がある。
しかしよほどのことがない限り、無配にまで転落することはない。無配を決めた社長は株主総会で針のムシロに座らせられる。できることなら避けたい。その意味で、配当は下方硬直的だ。
業界トップ企業の場合は、体力に余裕がある分だけ無配や大幅な減配のリスクをそれほど心配する必要はない。もちろん、業界トップの企業といえども、東芝や東京電力のように突発的な出来事で突然、経営危機に陥って、配当が一気に無配に転落することがある。
しかし、一般的にはその確率はかなり低い。業界トップ企業は銀行や証券会社の融資担当者や企業アナリスト、そしてメディアから絶えず監視されているからだ。
日産自動車のカルロス・ゴーン会長逮捕や東芝の粉飾決算は寝耳に水だったが、多くの場合、業績の急変や経営スキャンダルの予兆が見つかれば大々的に報道される。
ちなみに、私も現役時代、日産のゴーン会長の公私混同の噂は小耳にはさんでいたが、まさか金融商品取引法違反や特別背任罪の容疑で逮捕されるとは思わなかった。自分の感度の悪さを恥じるしかない。
リスクを知らせる「カナリア」を見逃すな
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