山形新幹線、25年ぶり新型「E8系」が導く大変革 アプローチ線、トンネルに続きフル規格化も?
東洋経済オンライン / 2024年3月18日 6時30分
JR各社のダイヤ改正が行われた3月16日、全国で営業運転する新幹線の車両にまた1つ新顔が登場した。形式名は「E8系」。JR東日本が開発した山形新幹線向けの車両だ。山形新幹線では1992年の東京―山形間開業時には400系、その後1999年の山形―新庄間開業時にはE3系が投入された。今回のE8系は山形新幹線にとって25年ぶりの新型車両となる。
【写真を見る】3月16日にデビューした山形新幹線の新型車両E8系とはどんな車両なのか?
最高時速は300kmに
当初の計画では2022年9月に最初の車両を完成させ、2024年春の営業運転開始までふた冬かけて試運転を行う予定だったが、折からの世界的な半導体不足が災いし完成が2023年2月にずれ込んだ。ただ、すぐに試運転を開始し、目標のふた冬かけた試運転は実現できた。試運転を繰り返した結果、安全性など運行性能に問題ないことが確認され、予定どおり営業運転に投じられることとなった。
E8系導入による最大の変化は宇都宮―福島間の最高速度が時速275kmから時速300kmに向上したことだ。これにより、所要時間が従来よりも最大で4分短縮し、東京―山形間が最速2時間22分、東京―新庄間が最速3時間7分で結ばれる。また、冬季の運行時、従来は福島駅で車体に付着した雪を落とす作業を行って列車が遅れることもあったが、E8系は床下に着雪防止用のヒーターを設置しているため、冬季の定時運行に寄与しそうだ。
運行開始に先立つ3月7日に関係者向け試乗会が開催され、上野―郡山間を往復した。E8系の外観のカラーリングは車体上部が紫、オレンジ色の帯をはさんで車体は白。この配色の構成はE3系に似ている。ただ、先頭車の「鼻」に当たる部分は長さ9m。E3系よりも3m長い。形状は「アローライン」と呼ばれるもので、E5系やE6系でも採用されている。
普通車は通路中央部に最上川をモチーフとした柄を通し、座席は山形県の花である紅花をイメージした鮮やかな黄色から赤へのグラデーションを採用した。E3系と比べると明るい印象を受ける。なお、グリーン車の座席は、樹林の広がる月山や最上川のゆらぎを再現したという緑色がモチーフだ。
また全席、肘掛けの下にコンセントがある。新幹線の車両では足元にコンセントがあることが多いが、場所によっては差しにくかったり、足が引っかかったりする。肘掛けの先端にコンセントが設置されている車両もあるが、リクライニングのボタン操作の邪魔になったりする。肘掛けの下というのはJR東日本の苦心の賜物である。
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