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ドラマ「不適切にも…」で考えた"炎上"問題の本質 不意に生み出される"炎上"に適切に対応する4つの視点

東洋経済オンライン / 2024年3月19日 13時10分

筆者は、広告業界で電子掲示板、ブログ、SNS等の口コミを分析して、炎上対策を講じる仕事を10年以上にわたって行ってきた。その際には、対象とする事象について「何件の投稿があるのか?」「そのうち批判的な意見はどのくらいあるのか?」を分析して判断をする。コタツ記事の場合、そこまで口コミデータをしっかり読み込んで“炎上”だと判断して書かれていることは、まずないと言ってよい。

“炎上”が作為的に作られてしまうという問題

明確な炎上の定義があるわけではないが、100件や200件程度の批判的なコメントが出ていても、一般社会に対する影響力はさほど大きくない。したがって、その程度の話題量では炎上とは呼ばないのが一般的だ。

ところが、コタツ記事では、アクセス稼ぎのために「批判殺到」「炎上」「物議」といった刺激的な言葉を使って、起こった事態を解説する。状況を直接知っているわけでも、さほど詳しく調べたわけでもない第三者が「これは炎上だ」と解釈して、SNSで批判をして火に油を注いでしまう。

筆者の経験では、こうした事態が加速したのは、新型コロナウイルス感染問題の前後あたりからだ。

コロナ禍の2020年4月、テレビ放映されたアニメ「サザエさん」でゴールデンウィーク中の外出が描かれていたことが「不謹慎」とされて“炎上”が起きた。東京大学の鳥海不二夫教授(当時は准教授)の分析によると、この番組内容に関するX(当時はTwitter)上の批判的な投稿は少数だった。しかし、デイリースポーツがそれを“炎上”として報道(後で訂正はしたが)し、この記事が拡散されたことにより、炎上したのが事実であるかのようなイメージが定着していってしまったという。

ネットメディアは、この事例を真摯に受け止めることなく、依然として“炎上”を作り出し続けている。その傾向はさらに加速している。

ドラマの中身の話題に戻ろう。

山本耕史が演じるテレビ局のリスクマネジメント部長・栗田一也は、アナウンサーの不倫問題について、次のように語っている。

「もはやテレビが向き合う相手は視聴者ではない。見ていない連中なんです」

「見る人はまだ好意的、見ないで文句を言う人間には最初から悪意しかない。これがバッシングの実態です」

このセリフも、非常に現代の炎上問題の本質を突いている。

1. 問題とは直接関係がない第三者が声高に批判を行う

2. 批判をする人の多くは、事態を正しく把握・理解していない

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