日ハム時代の大谷翔平が語っていた確かな「予測」 追い求める理想の体は「しなる棒のイメージ」
東洋経済オンライン / 2024年3月20日 11時20分
印象的だったのは、体づくりに関する質問に対して「理想は(体が)細くて、重くて、長くて、しなる棒のイメージ。それを速く振れば、当然、速い球を投げることができる」と、独特な言い回しで説明していたこと。そうかと思えば、「160キロ以上を投げないと(観客に)拍手されなくなった」と苦笑いを浮かべるなど、ざっくばらんに話をしてくれた。
さらに「いつかは、それ(160キロ)が普通になる時代が来る」と言い切っていた。「本当に?」と半信半疑だったが、後の佐々木朗希(ロッテ)らを目の当たりにして、的確な予測だったと今にして思う。
物事を俯瞰して見ることができる能力は当時から図抜けていた。
表彰式後には、球団の計らいもあり、主催社を代表して、ホテル近郊の焼き肉屋で大谷らと合流することもできた。もちろんその場では、取材ノートとペンはバックパックの中にしまい、完全プライベートを尊重。
もう20歳になっていたが、アルコール飲料を断り、ウーロン茶を飲んでいる姿を見た時は「日本ハムのチームメートたちの言う通りだ」と、自然とうれしくなった。もう既にスーパースターだったが、その笑顔はどこにでもいる20歳の青年だった。
同じ12月には、翌2015年の元日紙面用の特別企画として、鎌ケ谷の勇翔寮で大谷と当時スポニチ評論家だった石井一久氏との対談が実現し、私が司会進行を務めたこともあった。
2人の口調が熱を帯びたのは、「ピーク」についての考え方だった。
石井氏:「僕がメジャーに行ったのは28歳だけど、自分の中ではタイミングがひとつ遅かった。ピークってそこじゃないでしょ? 多分、もうちょっと前。大谷君は自分のピークはどう考える?」。
大谷:「肉体的にはやっぱり26歳とか27歳なのかなと。でも、技術とかみ合うという意味では27歳から30歳くらいかと感じています」。
後に大谷は27歳の2021年、29歳の2023年に史上初めて2度の満票でア・リーグMVPを獲得。大谷がいかに自己分析能力にも長けているかが分かる。
プロ野球担当1年目、大谷担当1年目として激動の2014年は、こうしてあっという間に終わりを迎えた。
シーズンの目標を表す漢字は「翔」
年が明けて2015年1月5日。日本ハム入団3年目を迎える大谷の鎌ケ谷自主トレ公開日。大谷はシーズンの目標を表す漢字として、自身の名前「翔平」の1文字でもある「翔」を選んだ。
「羊に羽を付けて"翔"にしました。ひつじ年の今年に羽ばたくという意味。去年の成績を超えたい意味もあるし、自分が納得できる年にしたい」
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