「病的な先延ばし」から抜け出せない人"3大"盲点 精神科医・禅僧がすすめる「無心になる」練習
東洋経済オンライン / 2024年3月21日 10時0分
理入は経典を読むなどして理屈から、つまり頭から入る座学のような修行を、行入は行動、身体から入る修行を指しています。
移動するときは決して歩かず、衣を着ているときは全力で早歩きしますし、作務衣のときには猛ダッシュです。
その他、掃除、調理、食事、洗面、入浴など、すべて細かく作法が定められているだけでなく、できる限り素早い身のこなしで行うのが基本。
禅宗においては、日常生活そのものが修行なのです。
その行入が時としてとてもハードなのが、禅修行の実際なのです。
不動智とは、即座に動ける状態
私の体験から一例を挙げましょう。一番印象に残っているのは、12月1日から8日の明け方まで、一度も横になって眠らないという修行です。
その間、食事やお経の時間以外はずっと坐禅を続けるのです。
途中でうたた寝をしようものなら、肩を警策(けいさく)で強く叩かれます。
何のために、こんな無茶をするのか。誰もがそう思うことでしょう。
そのルーツをたどれば、開祖であるブッダが、「まる7日間、菩提樹の木の下で座って悟りを開いた」という言い伝えに由来しているのですが、気になるのは、修行上の効果です。
一言でいえば、「莫迦になる」 ためです。
仏教用語で、莫迦は「無智」の意味です。
不動智(ふどうち) 、という禅の言葉があります。
智恵にあふれていながらも、それに囚われず、四方八方、自由自在に動き回れる状態。
現代風に訳すなら、ぐるぐる頭のなかで思い悩むことなく、臨機応変に考え、なおかつ「即座に動ける」状態。
いろいろと考えるよりも、無心で動くほうが先延ばしは減ります。
【盲点②】「心の勢い」を落としている
江戸時代の禅僧、沢庵(たくあん)禅師は、徳川将軍家の指南役であった剣豪の柳生宗矩(むねのり)に対し、そんな不動智が禅の修行によって得られる、と説きました。
これを私なりに解釈すると、こうなります。
人間が知識を得て賢くなると、あれこれと頭で思い悩むことが増え、モメンタムが落ち、動けない人になりがちです。
これが、「智恵に囚われている」 状態です。
たとえ賢い人であっても、状況に応じて機敏に対応するには、瞬間的に「莫迦になる」必要があります。
莫迦になると、感覚が鋭くなり、モメンタムも高まりやすくなります。
いったんは知識を得た人がモメンタムを高め、「莫迦になって、今すぐやる」人になるための修行が、行入なのです。
私自身、修行中は散々「バカになれ!」と先輩方から指導を受けました。
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