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松本城主・松平直政が「月」を見せたかった"相手" 城好き気象キャスターが「風光明媚な城」を厳選

東洋経済オンライン / 2024年3月22日 13時0分

松本城の、月見の宴(現在は開催していません)。あかりが灯っているところが月見櫓(提供:松本経済新聞)

NHK総合サタデーウオッチ9の人気気象キャスターである久保井朝美さんは、大のお城好き。気象予報士になってからは、お城を見る視点に「天気」という専門性が加わり、新たな疑問や仮説が浮かんでくるようになったといいます。

久保井朝美著『城好き気象予報士とめぐる名城37 天気が変えた戦国・近世の城』より、風土が異なるからこそ楽しめる「絶景」や、そのメカニズムをご紹介します。取り上げるのは、「今治城」と「松本城」です。

霧に包まれた「天空の城」は、一般的に標高が高いお城とされていますが、平地のお城でも、霧との競演が期待できます。

【写真で見る】まるで水上に浮いているかのよう。春の霧にかすむ今治城

「海城」に現れる朝霧

愛媛県の今治城は朝霧に包まれやすいお城で、まるで水上に浮いているように見えることがあります。霧の向こうから太陽が昇って朝日が差しこむと、オレンジがかって神々しいです。

今治城は、日本三大海城(うみじろ)といわれています。お城を築いたのは、豊臣秀吉にも徳川家康にも才能を買われた、築城の名手・藤堂高虎(とうどうたかとら)です。

瀬戸内海に目をつけ、お城に船入(ふないり:港)を設けて、直接海に出られるようにしました。現在も、今治港として港の役割を担っています。

お城には瀬戸内海から海水が引き込まれていて、クロダイやフグ、ヒラメなど海の魚が泳いでいます。潮の満ち引きによってお城の水位が変わるのも面白いです。ほかにも、石垣には牡蠣の痕跡が見られる石があるなど、随所に「海」を感じられるお城です。

「春の雲海」の正体

今治城は瀬戸内海に面した「海城」ですが、これが霧の多い理由です。

瀬戸内海は陸地に囲まれているので、霧のもととなる水蒸気を多く含んだ、湿った空気が溜まりやすいのです。そのため濃い霧が出やすく、霧が長い時間続く傾向があります。

霧は、湿った空気中の水蒸気が水滴に変わって発生します。水蒸気のときは目に見えませんが、たくさんの水滴になると白く見えるようになるのです。

発生する霧は2種類

瀬戸内海で発生しやすい霧は、主に2種類あります。

1つは、暖かい空気が冷たい海上に流れこみ、冷たい水に冷やされて空気中の水蒸気が水滴に変化することで発生する「移流霧(いりゅうぎり)」です。「海霧(うみぎり、かいむ)」ともいいます。

もう1つは、性質が違う空気がぶつかる前線の近くで、湿った暖かい空気が冷たい空気に冷やされることによって水蒸気から水滴に変わる「前線霧」です。

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