横浜線直通計画もあった「みなとみらい線」秘話 2024年で開業20年、距離は短いが工事は難航
東洋経済オンライン / 2024年3月22日 6時30分
2004年2月に開業した横浜高速鉄道みなとみらい線(横浜―元町・中華街間 4.1km)との直通運転開始にともない、東急東横線の横浜―桜木町間が廃止されてから20年が経過したと、あるコラムに書いたところ、「懐かしい」「もう20年ですか」といった声が寄せられた。
【写真を見る】いまから20年前、みなとみらい線開業に伴う東急東横線桜木町駅の最終営業日には多くの人が集まり、名残を惜しんだ。東白楽―反町間地下化工事の様子も。
だが、こうした懐かしむ声ばかりでなく、直通運転開始によって渋谷方面から横浜中華街などへのアクセスが便利になった一方、東横線の横浜駅地下化により、他線との乗り換えが不便になったという声も目立った。
今回は、2024年で20周年を迎えたみなとみらい線の開業までの経緯や、具体的にどのような工事が行われたのかなどについて、あらためて振り返ってみたい。
「東急線の一部」ではなく三セク鉄道
みなとみらい線は、東急もしくは横浜市営地下鉄の1路線だと思っている人もいるかもしれない。だが、同線を保有・運行(電車の運転業務は東急電鉄に委託)する横浜高速鉄道は、横浜市、神奈川県、東急などが出資する独立した第三セクターの鉄道会社である。
この横浜高速鉄道は、みなとみらい線以外に、こどもの国線を保有している。こどもの国線は第三種鉄道事業者としての横浜高速鉄道が線路等を保有し、東急電鉄が第二種鉄道事業者として旅客運送事業を行っている。
みなとみらい線は、1980年代から造成が進められた「みなとみらい21」地区へのアクセス確保を目的に建設が計画された。同地区は、かつて三菱重工横浜造船所や国鉄の貨物ヤード(高島駅)などが広がる、一般人は立ち入れないエリアだった。そのため、関内、伊勢佐木町などの旧来の市街地と横浜駅を中心とする新しい繁華街は、長い間、分断された状態にあった。
そこで、1965年に提案された横浜市の活性化を目的とする大規模な都市計画「横浜市六大事業」の1つとして、高速鉄道(市営地下鉄)の建設、港北ニュータウンの造成などと並んで、横浜都心部の強化(現・みなとみらい21地区の開発・造成)が挙げられた(「みなとみらい21」という名称は、後に公募により決定)。
その後、オイルショックなどの影響から開発計画はしばらく進捗しなかったが、1983年3月に三菱重工横浜造船所の本牧・金沢地区への移転が完了した後、同年11月にようやく着工に至った。
横浜線直通の計画がなぜ東横線に?
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