横浜線直通計画もあった「みなとみらい線」秘話 2024年で開業20年、距離は短いが工事は難航
東洋経済オンライン / 2024年3月22日 6時30分
横浜駅の構築は工事自体の難易度も極めて高く、地下工事に先立って行われた線路やホームなどの地上施設を仮受けする仮設工事に際しては、「地上から仮設の支持杭を打ち込むにしても、線路と線路の間、線路とホームの間など限られた場所」を選ばなければならず、「使用できる工事機器や資材も架線や送電線などに抑えられて特殊な小型のものしか使えない」(誕生物語)といった制約が多かった。また、電車運行に支障がないよう、終電から始発までの4時間程度での工事を繰り返すという非常に手間のかかるものとなった。
さらに東横線の東白楽―横浜間(約2.1km)を地下化し(途中の反町駅の地下化を含む)、横浜駅でみなとみらい線とドッキングさせる工事も必要となった(1996年に着工)。トンネル掘削の具体的な工法等は『東急100年史』に記されているが、「営業線の直下に地下構造物を構築するという難工事」だった。
そして、2004年1月30日の深夜から翌31日の未明にかけてのわずか4時間足らずで高架線から地下線への切り替え(仮線を設けずに営業線の直下で地下線へ切り替える「線路直下地下切替工法=STRUM工法」)を完了し、31日は渋谷―横浜間での営業運転を実施。その間に点検と開業準備を行い、2月1日から、新規開業したみなとみらい線との直通運転を開始した。ちなみに開業日を2月1日としたのは「みなとみらい21」との語呂合わせの意味があったという。
みなとみらい線の建設費は、工事の長期化や当初計画にはなかった新高島駅の追加開設などもあり、相当高額になった。横浜市公表の数字によれば総事業費は約2600億円。「誕生物語」には、事業免許取得時における想定は約1950億円で、その後の追加工事等により2003年度時点では約3000億円を超える見込みとなったが、全体的に工事費の縮減を目指して見直しを行った結果、「約10%程度削減できる見通し」になったと事業費増減の経緯が記されている。
廃止された区間の今
地下化された東横線の東白楽―横浜間の地上線跡と、廃止された横浜―桜木町間の高架線は横浜市が買い上げ、緑道・遊歩道として整備される計画が立てられたが、現在は、どのようになっているのだろうか。
まず、東白楽―横浜間に関しては、緑道としての整備が2011年に完了している。「東横フラワー緑道」と名付けられたこの緑道を歩いていると、ときおり通気口を介して地下を走る電車の轟音が聞こえてくる。
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