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35歳でNTT辞め、たどり着いた野球とITの最先端 選手の進化をスポーツ科学で促すネクストベース

東洋経済オンライン / 2024年3月22日 11時20分

当時、シカゴ・カブスがR&D(リサーチアンドデベロップメント)という部門を作りましたが、これからのプロ野球は、勝つために研究開発が必要で、我々研究者も新しい知見をチームの現場に落とすべきだと考えていました」

このタイミングで神事氏の講演を中尾氏が聞いて、神事氏をスカウトしたのだ。神事氏は楽天を退職してネクストベースに入社。上級主席研究員となる。その傍ら国際武道大学から國學院大學に転任し准教授になった。

楽天に導入された「トラックマン」は、以後、他球団も続々と導入する。データ分析のニーズが高まる中、ネクストベースは、読売ジャイアンツ、中日ドラゴンズ、阪神タイガース、と契約した。

中尾社長はもともと多くの人にシステムを使ってもらいたいと思っていたが、『最初からエンドユーザーにアプローチするとたぶん失敗するよ』というアドバイスがあった。

中日ドラゴンズが最も高いレベルでデータ解析

「プロとの契約は最初から大きくて長期的です。そして成果が出れば知名度が上がります。それにプロ野球を顧客にすれば、日本で最高レベルの選手のデータを入手できる。だからそこで結果を残して、シャワー効果で社会人、大学、高校、中学と広げていこうと思ったんです。巨人の場合、1年目はまずデータを知りましょう、2年目にデータの使い方を知りましょう、3年目に実践しましょうというプランで提案して採用されました。

中日ドラゴンズは僕たちに『球団の文化として残したい』と言いました。監督や選手は移り変わっていくけど、データを活用するマインドは、球団に残るようにしたい。だからスタッフに教えてほしいと。あまり知られていませんが、今では中日ドラゴンズが最も高いレベルでデータ解析や動作解析をしているチームだと確信しています」

満を持して2022年8月、民間企業としては日本初のアスリートの成長を支援するスポーツ科学R&Dセンター「NEXTBASE ATHLETES LAB(ネクストベース・アスリートラボ)」を千葉県市川市に開設した。それ以降、球団だけでなく、個別に契約をして施設を利用する選手がやってくるようになった。

神事氏は語る。

「バイオメカニクスの目的として主に3つあると考えています。投球/打球速度の向上、ケガの予防、そして好調時と不調時のデータ比較によるスランプ脱出です。球団にもアナリストやバイオメカニクスの専門家はいるのですが、彼らは1人で多くの選手をサポートしています。

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