道長から厚い信頼「安倍晴明」権力者達が頼る実力 40歳の時はまだ学生、遅咲きながら政権で活躍
東洋経済オンライン / 2024年3月24日 7時50分
NHK大河ドラマ「光る君へ」がスタートして、平安時代にスポットライトがあたることになりそうだ。世界最古の長編物語の一つである『源氏物語』の作者として知られる、紫式部。誰もがその名を知りながらも、どんな人生を送ったかは意外と知られていない。紫式部が『源氏物語』を書くきっかけをつくったのが、藤原道長である。紫式部と藤原道長、そして二人を取り巻く人間関係はどのようなものだったのか。平安時代を生きる人々の暮らしや価値観なども合わせて、この連載で解説を行っていきたい。連載第12回は、遅咲きながら政権の中枢で活躍した安倍晴明のエピソードを紹介する。
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道兼はどのように花山天皇を陥れたか?
寛和の変(かんなのへん)――。
寛和2年6月23日(986年7月31日)に起きた、この歴史的出来事を知る人は、今回の大河ドラマ「光る君へ」で取り上げられるまでは、それほど多くなかったことだろう。いわば、「花山天皇の出家プロジェクト」である。
計画したのは、おそらく、当時右大臣だった藤原兼家だろうとみられている。兼家は、何としてでも自分の孫を天皇にしたいと考えていた。そのためには花山天皇には一刻も早く、退位してもらう必要があり、出家させることを思いついたらしい。
実行犯は兼家の4男にあたる藤原道兼だ。一緒に出家すると見せかけて、花山天皇を寺へと連れ出して、剃髪を見届けたうえで、自分だけ抜け出している。
『大鏡』によると、道兼は退出時にこんな言い訳をしたのだという。
「ちょっと失礼して、出家前のこの姿を父の兼家に見せてから、天皇とご一緒に出家する事情も伝えたうえで、必ず戻って来ましょう」
(罷り出でて、おとどにも、変はらぬ姿、今一度見え、かくと案内申して、必ず参り侍らむ)
ここで騙されたことに気づいた花山天皇。「私をだましたな」(「珍をばはかるなりけり」)と悔しがるが、後の祭りであった。
「寛和の変」を予期した安倍晴明
結果的に、兼家の陰謀計画は成功に終わったが、危うい場面もあったらしい。
同じく『大鏡』からの逸話で、道兼が花山天皇を寺へと連れ出そうとしていたときのことだ。
花山天皇が女御、忯子からの手紙を忘れてしまったことに気づく。忯子は花山天皇が最も愛したとされる女御だが、17歳の若さで早世。失意の底にいる花山天皇を見て、道兼は出家に誘ったとされている。
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