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一流企業勤務の彼が「華道の師範」転身の納得理由 「リスキリング」を考えている人に教えたい選択のコツ

東洋経済オンライン / 2024年3月25日 19時0分

ここで、もう1つのキーワードが出てきます。それは、「好奇心」です。

私の好奇心を刺激することの1つに、「コンピュータをいじる」というものがあります。

昔からコンピュータをいじっているのが大好きで、時間を忘れて没頭してしまうくらいでした。

私のコンピュータに対する好奇心を、AIと掛け合わせてリスキリングできないかと考えたときに思いついて、実行したことがあります。

私のフリースクールに通う小学6年生を対象に「生成AIとプログラミング授業」という形で、私の好きなコンピュータいじりを1つの授業として成立させたのです。

これが、自分の好き(好奇心)をAIと掛け合わせて仕事にするという、1つの発想パターンです。

一流企業から「小原流師範」に転身した友人も

もう1つ、ある事例をご紹介しましょう。私がカナダに留学していたときに知り合った日本人の友人にまつわる話です。

彼はとても頭がよく成績も優秀で、ブリヂストンという誰もが知る一流企業に勤めていました。

ところが、久しぶりに会って話をしていると、「いや〜、実は会社を辞めてね。いまは"お花"をやっているんだよ」と言うのです。

「ん……!? お花……??」

彼の話をすぐに理解できなかった私は、「お花って……、退職して花屋でアルバイトでも始めたの?」と訊くと、彼は「いやいや、いまね、やっと自分の生きがいを見つけてね。小原流という華道の師範をしているんだよ」と清々しい顔で言うのです。

そんな彼が、続けてこのようなことを言っていました。

「自分はこれまで必死に働いてきたけど、自分の会社人生を振り返ってみたら何も残っていなかった。それなりに一生懸命やってきたつもりだったけど、いざ定年を迎える時期に差し掛かったとき、結局、私にとっての仕事は自分の生きがいではなかったことに気づいたんだよ」

そんな彼が、いまやっと生きがいを見つけた。それが華道です。

「華道×AI」でさらなるスキル向上につながるはず

彼は時々、私のフリースクールにも教えに来てくれているのですが、彼の表情を見ているといつも「イキイキしているな」と感じます。

なぜ、彼は一流企業を辞めてまで華道に全力投球しているのか?

彼のお母さんがもともと小原流の師範で、幼少の頃から華道に親しんでいたからだそうです。社会人になってからも、お花が好きで華道を好きで続けていたといい、定年退職を待たず華道を自分の生きがいにしているというわけです。

そんな彼に、私が提案しようと思っているのは、「華道×AI」というもの。

これこそがリスキリングの本質であり、AIというテクノロジーをフル活用しつつ、彼の好奇心を刺激しながらさらなる知識の獲得とスキルの向上へとつながっていくに違いありません。

竹内 薫:理学博士/サイエンス作家

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