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ゼネコンよりサブコンが上?建設業界の新秩序 下請けとは「殿様と家来」の関係だったが…

東洋経済オンライン / 2024年3月25日 7時0分

工事現場を支えている下請け会社の立場が高まるか(撮影:今井康一)

変革の意識が乏しく、昔ながらの慣習が数多く残る「レガシー産業」の建設業界に、時間外労働の上限規制の適用という「2024年問題」が襲いかかる。

『週刊東洋経済』3月30日号の特集は「ゼネコン下剋上」。変革ののろしが上がる。

「今は力関係でいえばゼネコンよりサブコンのほうが上だ」。複数のゼネコン関係者はこう嘆く。

【図表】ゼネコンを頂点とする建設業の「多層ピラミッド構造」

建設業界は元請けであるゼネコンを頂点に、重層構造になっている。仕事を発注するゼネコンと、受注する側であるサブコン(空調設備や電気設備などの専門工事会社)を含む下請け会社との間には、「殿様と家来の関係」(内装工事会社の社長)と言われるほど明確な上下関係があった。

しかし今、そのヒエラルキー構造が変わりつつある。

「引き受けてくれるサブコンをなかなか見つけられなかった」と肩を落とすのは上場中堅ゼネコン・大豊(だいほう)建設の幹部・A氏。2月9日、大豊建設は今2024年3月期の最終損益が16億円の赤字に転落する、と公表した。

「湯水のごとくお金がかかった」

理由は、あるホテルの建築工事で「最終段階の設備工事に入ったところで、サブコンが万歳した(工事を放棄した)」(A氏)ためだ。デザイン性の高いホテルにもかかわらず、そのサブコンは施工仕様を十分に認識していなかった。工事をこなせないと、今年1月に入って突如判断したという。

引き受けてくれる別のサブコンを何とか見つけたが、「2月の竣工に向けて超突貫工事となり、湯水のごとくお金がかかった」(A氏)。

準大手ゼネコンの社員も「最近、サブコンは工事を簡単には引き受けてくれなくなった」と話す。足元では工事発注者からの受注を決める前に、まずサブコンを確保するというゼネコンが増えている。

3つの新秩序が生まれつつある

建設業界は「2024年問題」への対応に必死だ。「働き方改革関連法」に基づく規制が4月から適用され、時間外労働を月45時間・年360時間以内に収めなければならない。労使合意で36(サブロク)協定を結んでいても年720時間が上限とされる。違反した場合は刑事罰の対象になる。

長時間労働の慢性化や若者の流入不足など多くの構造問題を抱える建設業界は規制適用を変革の好機と捉える。「今年がラストチャンス。変革しなければ人が業界に入ってこない」(協同組合東京鉄筋工業協会の飛田良樹理事長)。

変革機運が高まっており、2024年問題を機に、建設業界には「下剋上」ともいえる3つの新秩序が生まれつつある。

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