家を借りられない「高齢者の住まい」迫りくる危機 孤独死で「事故物件化」ほかにもトラブルが続出
東洋経済オンライン / 2024年3月26日 6時50分
病死も、新しい入居者から「前もって知っていたら借りなかったのに」というクレームが来ないよう、家主側は告知しています。しかし、告知したらしたで、次の入居者を確保できなかったり、賃料を下げざるを得なかったりして、資産価値低下につながっています。
結局のところ、入居者が孤独死すると家主側の負担が非常に大きくなります。そのため、入居者確保が少々困難になったとしても、事故物件化を防ぐために高齢者に貸すのを避けるしか方法がないのです。
しかし、このような現状は家主にとっても、賃貸を借りたい高齢者にとっても不幸な事態です。
人は生きている限り、どこかに住まなければなりませんし、生きている人は誰しも必ずいつか死を迎えます。
人が亡くなった場所をすべて事故物件化していたら、この日本に高齢者の住む場所はどこにもなくなってしまいます。高齢者の増加によって死亡者数が増え、人口が減少していく「多死社会」もすぐそこまで来ています。今後は『死』に対する認識を、日本人は変えていく必要があると私は考えています。
2018年に行われた調査でも、家主や不動産会社の大半が「できたら高齢者に貸したくない」と思っているという結果が出ています。そこには、賃貸借契約の相続や孤独死に絡む問題以外にも、さまざまなトラブルがあることがうかがえます。
・ 高齢者の認知症が進み、実質面倒をみなければならない
・ 家族が対応しない。言ってもしてくれない
・ 共有部分で失禁・ 糞尿をする(制御できない)
・ 電球を替えられない、テレビが映らない(単なるコンセント抜け)、エアコ
ンのリモコンが反応しない(単なる電池切れ)などの理由で呼び出される
・ 耳が遠く、大きな音でテレビを視聴するため、他の入居者とトラブルになる
・ 室内を片づけられず、汚部屋になる
・ 隣人に金の無心をしたり、被害妄想で近隣や警察に迷惑をかけたりする
・ ボヤ程度だが、火事を起こした
・ 生活スタイルの違いから、隣人と生活音トラブルになる
一昔前までは家族や親戚が対応していたことを、民間の家主や不動産会社が対応しなければならない状況が起こっているのです。彼らができるだけ高齢者に貸したくないと思うのも、仕方のないことだと思ってしまいませんか。
本来なら優良顧客の高齢者
本来なら家主側にとって、高齢者の賃借人はいったん入居すると若い人ほど引っ越しすることが少なく、結果として長期入居してくれる「優良顧客」です。
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