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圧倒的王者のアパホテル、4つの「ありえぬ数値」 「2000万人」「108%」「600人」「52期連続」

東洋経済オンライン / 2024年3月26日 12時10分

加えて、DXによる省人化を進めるなど、さまざまな工夫で削れる経費を徹底削減するのも経営信条だ。出店地の選び方もその1つ。一般的に選ばれる整形地ではなく変形地への出店で、初期費用を抑えている。

「規格外野菜と同じ感覚です。形は多少いびつでも、同じ駅からの距離と面積の土地を2割は安く買えますから」と元谷氏はほほ笑む。

これを象徴する特徴的なシルエットのホテルが『アパホテル〈渋谷道玄坂上〉』だ。W型の土地のポテンシャルを独自設計で最大限に生かし、面積に対しての客室数を、整形地と同じ数で維持している。フォーマット化したホテルではとてもできない、設計力が発揮された建物だ。

客室のコンパクトさも徹底した経費節減を象徴している。ベーシックなアパホテルの客室は基本、ユニットバスを除いてシングル9㎡〜だ。9㎡は旅館業法で決められた最低限の広さ。

そのコンパクトさを揶揄されることもあるのでは……と尋ねたところ、元谷氏は「客室を1.2倍、1.3倍の広さにしたとして、単価を高くとれるのでしょうか?」と問いかけてきた。

続けて、「とれないならば最低限の広さを遵守して、レベニューマネジメントで最大の売り上げを確保します。だからアパは他チェーンに比べ、1㎡当たりの売り上げが業界でトップだと思います」と語った。

従業員にとってもサスティナブルな経営を

ホテルは、利用者目線でサービスを付加することに注力しすぎると、従業員へ還元する利益が減ったり、負荷をかけてしまいやすい業種だ。そのバランスが難しい。

だが元谷氏は、「従業員が我慢することで成り立つ顧客満足は、持続可能ではありません。その仕組み自体を改善していかないと、業界全体の人手不足はいつまでも解消されません」ときっぱりと言う。

削れる部分は極限まで削って高収益を確保し、従業員へのベースアップ、福利厚生を充実する好循環を生む。そこを一番に考えるからこそ、「52期連続黒字」は実現し、600人という内定者獲得もかなったのだ。

まさにサスティナブルな経営。すでに創業から半世紀を過ぎたアパだが、筆者には、次の半世紀も確実に生き残っていく未来が見えてきた。

次回最終回は、北米への挑戦と、今後の展望について解説する。

笹間 聖子:フリーライター・編集者

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