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圧倒的王者のアパホテル、4つの「ありえぬ数値」 「2000万人」「108%」「600人」「52期連続」

東洋経済オンライン / 2024年3月26日 12時10分

就職希望者が増えた理由を元谷氏は、ベースアップだと分析する。2023年に1万1000円アップし、初任給も2万円アップした。しかもベースアップは2013年度から少しずつ続けており、コロナ禍の2020、2021年は据え置きだったものの、11年で合計4万2000円も増えたそうだ。コロナ禍を挟んでの過去10年で、ここまでベースアップしているホテルチェーンはほかにないのではないか。

社員の健康にも目を向ける

また2023年は同時に、福利厚生の見直しにも注力したという。役職連動型の人間ドックを採用し、全オフィスに『置き型健康社食®』を採用。“健康経営”に舵を切った(※「置き型健康社食®」は株式会KOMPEITOの登録商標)。

【2024年4月3日12時20分追記】初出時、サービス名に誤りがあり、一部訂正いたしました。

「無添加やグルテンフリーなど、ヘルシーな冷凍メニューを社員が100~200円で購入できるサービスです。それ以上の足が出た価格を弊社が補助しています。従業員はこれを1日2食、月に44食購入できるため、忙しいなかでも健康的な食事を取ってもらえるのではないかと考えています」

このように、元谷氏は導入の狙いを話す。

さらに、DXによる業務のオートメーション化で作業負担を軽減していることや、研修制度やOJTによるフォロー体制が充実していることも、就職希望者の増加をあと押ししているという。

最後のありえない数値は、「52期連続」。1971年の創業からずっと黒字を続ける高収益だ。

コロナ禍はさすがに苦しかったそうだが、「全国のアパホテルを30連泊できる」サブスクプランを発売するなど、創意工夫で乗り切ったという。ちなみに同プランは9万9000円と絶妙な価格設定で、「自転車1周旅」など、学生の休暇旅行に好評を博した。結果、1億円以上売れたそうだ。

このようにアパが高収益にこだわる理由は、持続可能な経営を行うためだ。そこにはまず、人材が不可欠。だからこそ確実に収益を上げ、従業員に給料や福利厚生として還元する原資にしている。

「サービス業界は長く人手不足が続き、他業種からの流入も少なくなっています。ですが、サービス業界で働きたいと考えている人は一定数います。彼、彼女たちに選ばれるためには、サスティナブルにベースアップ、福利厚生を充実していけると判断できる、信頼が必要なのです」(元谷氏)

それを裏打ちするのが高収益、すなわち財務力なのだ。このためアパは、「トリプルワンシステム」や「1ホテル、1イノベーション」などの姿勢で稼働を高めながら、レベニューマネジメントとダイナミックプライシングでRevPARをアップ。高収益を確保している。

変形地への出店も、信念に裏打ちされたもの

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