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賃上げしても「給料安い」と憤る若者の何が問題? 経営者と従業員との間にある「情報の非対称性」

東洋経済オンライン / 2024年3月26日 10時30分

・2017年 お金(45%) やりがい(55%)
・2018年 お金(48%) やりがい(52%)
・2019年 お金(51%) やりがい(49%)
・2020年 お金(52%) やりがい(48%)
・2021年 お金(50%) やりがい(50%)
・2022年 お金(56%) やりがい(44%)
・2023年 お金(59%) やりがい(41%)

「衰退途上国」とまで言われる日本に希望を持てなくなった、ということだろうか。ロマンチストよりもリアリストの若者が増えている。

もちろん、「お金」も「やりがい」も両方を満たしたい。しかし、どちらかを選べと言われたら「お金」と答える人のほうが増えている、ということだ。

それに、誰だって「仕事に求めるものは何か?」と質問されて、「お金」とは、なかなか答えられない。相手の心象や周りの目も気になる。だから、

「私はお金よりも、やりがいを重視したいです」

と部下に言われても、それが本音かどうかわからない。超採用難の時代は今後もずっと続く。若者に対する誤解や勘違いは、会社の存続を揺るがす大きな問題となる。

「賃金」に関わる3つの無理解

今回の賃上げについて案の定、一部の管理職やベテラン社員は勘違いしていた。若者たちが「お金よりも仕事のやりがいを重視している」という誤解だ。だから、

「賃上げよりも、やりがいを優先させる方針をとるべきだったのか」

とある部長が発言したが、社長は一蹴した。

「20代前半の社員全員と面談した。不満はすべて『賃上げが物足りない』だった」

社長はかなり残念そうだった。今回の取り組みに協力してくれた人事労務のコンサルタントは、

「社長は思い切った判断をされました。胸を張ってください」

と勇気づけた。では、いったいなぜこのような事態になったのか。理由は極めて単純なものだった。それが社長と若者との間にある「情報の非対称性」である。

若い社員は、以下の3つの事柄について著しく理解が足りなかった。

(1)賃金の詳細
(2)賃金の水準
(3)賃金の決定プロセス

まず、賃金の詳細である。詳しくアンケートをとったところ、毎月振り込まれる金額(手取り)と、給与所得を区別できない者もいた。賃上げによって手取りが増えるとは限らない。賃上げに伴い、税金や社会保険料も上がるからだ。それを理解できていない若い社員のなかには、

「なぜ、後輩のほうが給与が高いのかわからない。学歴の差か?」

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