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水原氏「違法賭博問題」が大谷翔平を揺るがす事情 永久追放処分も出た「野球賭博」という根深い問題

東洋経済オンライン / 2024年3月26日 7時40分

プロ野球の「黒い霧事件」と言われたこの事件以降、NPBも「野球賭博」そして反社会勢力と選手の接触に厳しい目を光らせることになる。

2016年には、読売ジャイアンツの選手が関与した「野球賭博事件」が発覚した。前年オフに巨人の練習施設に、ある人物が「野球賭博で負けた借金」を取り立てに来たことから事態が発覚。賭博に関わった巨人の福田聡志、笠原将生、松本竜也の3選手が契約解除され、高木京介が失格処分となった。また巨人の球団代表も引責辞任した。

「黒い霧事件」以来、47年ぶりの大スキャンダルだった。この事件を機に、NPBと各球団は「再発防止策」を強化した。現在では新入団選手はNPBや球団の講習で「野球賭博」などの「有害行為」についての講習を受けることになっている。

こうした野球賭博、八百長事件は韓国プロ野球(KBO)や台湾プロ野球(CPBL)でも起こっている。特に台湾の場合は、2008年、球団ぐるみの八百長事件で、米迪亜ティー・レックスが、球団ごと永久追放されるなど、大規模な八百長、野球賭博事件が何度も起こり、それが台湾プロ野球発展の最大の阻害要因になっていた。今では台湾政府の総督府が後ろ盾になり、CPBLを盛り立てている。

アメリカでは盛んな「スポーツベッティング」

野球は人気スポーツだけに、賭けの対象になりやすい。また人気選手には、常に反社会勢力が接近しようとする。野球賭博、八百長の誘惑は、プロ野球界には常に存在している。しかし、野球賭博が一度発覚すると、野球界は回復不能なほどのダメージを負うことになるのだ。

アメリカでは「スポーツベッティング(合法の賭博)」が盛んだ。特にMLBは「ファンタジーベースボール」というシミュレーションゲームが盛んで、数百万人の愛好者がいるとされる。このゲームは、参加者がオーナーの立場で実際の選手を獲得し、実際のペナントレースの動向に従って成績が決まり、一喜一憂する。MLB公式サイトでもこのゲームの愛好者向けに情報提供をしている。

「ファンタジーベースボール」そのものは賭博ではないが、ここから入って「MLBベッティング」など合法的な賭博に手を出すファンも少なくないと言われる。そうした合法的な「スポーツベッティング」のすぐ横に「違法賭博」があるという図式なのだ。

大谷の将来に暗い影を落としかねない

ESPNでは水原氏の「違法な賭博とは知らなかった」「野球には一切賭けたことがない」という発言が報じられているが、万が一、水原氏が関与した賭博の中に一つでも「野球関連」のものがあった場合、MLB球団としては、関係した人物に厳しい処分を科すことになる。

報道されているとおり、大谷翔平が水原氏の「賭けで負けた借金」を肩代わりしたとして、その「賭け」に「野球賭博」が含まれていた場合、さらに深刻な事態になる可能性もなくはない。

大谷翔平その人が「野球賭博」を含めた「有害行為」「不法行為」に関与したと疑う人はほとんどいないだろう。

しかし、彼が最も信頼してきた人物の「背信行為」は、不世出の大選手の将来に暗い影を落としかねない。この期に及んで大谷翔平に求められるのは「正直さ」と「率直さ」であろう。スポーツマン大谷翔平の真価を発揮する場と言ってもいい。

結婚によって伴侶を得たばかりの大谷翔平にとって、この蹉跌は「乗り越えられるもの」であると信じたい。

広尾 晃:ライター

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