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大正製薬、「安すぎるMBO」批判くすぶる総会の中身 決定過程への質問集中、上原家は終始発言せず

東洋経済オンライン / 2024年3月27日 7時50分

とくに質問が集中したのは、TOB価格を決定するに至ったプロセスについてだった。株主であるアメリカの投資ファンド、キュリRMBキャピタルは、大正製薬HDがTOBに際して設置した特別委員会の独立性について問いただした。

特別委は、少数株主の利益保護の観点から、TOBの取引条件や手続きの妥当性について検証するために設置されるものだ。そのため本来は別途ファイナンシャル・アドバイザー(FA)などを雇い、独自にTOB価格を算出することが望ましいが、大正製薬HDのTOBにおける特別委はそれを行わず、取締役会が依頼したFAの算出価格を追認する形をとった。

「大きな認識のギャップを感じた」

この点について、特別委の委員長を務めた松尾眞・大正製薬HD社外監査役は、自身に知見があることなどを挙げ、特別委の役割は十分果たせていたとした。

キュリRMBの細水政和パートナーは総会後、東洋経済の取材に「非常に大きな認識のギャップを感じた。委員個人の能力の問題以前に、善管注意義務を負う取締役と異なり、補完的な役割である監査役は責任を取れない立場にある。特別委として、(価格の正当性の説明について)責任を取れるリーガルアドバイザーやFAを雇うことは必須だったはずだ」と語った。

また、同じく株主である香港の投資ファンド、オアシス・マネジメントは、大正製薬HDが当初、少数株主の過半数の支持を得ることを案件の成立条件とする「マジョリティー・オブ・マイノリティー(MOM)」を採用しようとしていた点を指摘。その採用を見送った理由について、大正製薬HD側は「インデックスファンドが買い付けに申し込まないことが想定されたため」などと説明する一方、詳細な経緯を再び問われると、開示義務がないことを理由に回答しなかった。

質疑応答が始まって30分ほどが経過したころだった。突如、議長が「それでは時間も押してまいりましたので、次で最後の質問にさせていただきます」と発言。会場はややざわめき、抗議の声が上がったという。

その後、3人の質問者が当たったのちに質疑応答は終了した。前出の個人株主の男性は、「まだ質問したがっていた株主がいたにもかかわらず、(質疑応答が)打ち切られた」と振り返る。

議長が会場の株主に対し、議案に対する賛否を問うと、2人あまりが拍手をした。総会では明社長らが指名される場面もあったが、議案の内容と利害関係があることを理由に、最後までMBOを主導した上原一族が発言することはなかった。

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