1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. ビジネス

Vチューバー事務所、大盛況「フェス」で意外な明暗 収入増が続く一方、ANYCOLORはマイナス影響も

東洋経済オンライン / 2024年3月28日 8時40分

ところが発表翌日、同社の株価はストップ安水準にまで急落した。第3四半期の累計決算は増収増益だった一方、直近四半期(2023年11月~2024年1月)だけでみると、売上高は前年同期比4.7%増、営業利益は同20.1%減に落ち込んでいた。これまで急速に成長してきただけに、市場の高い期待を下回ったとみられる。

昨年末のフェスでは赤字が拡大

直近の業績が伸び悩んだ要因の1つとなったのが、昨年12月に2日間開催された「にじさんじフェス」だ。会社の説明によれば、フェスによる収入自体は前年と比べ5割近く増加したものの、「関連費用の想定以上の上振れ」によって赤字が拡大し、全社の営業利益率の低下を招いたようだ。

もともとANYCOLORは、利益率の高いグッズ販売やプロモーションで先行してきた。前期実績では売上高に占めるグッズ販売とプロモーションの割合は、カバーが52.2%であるのに対し、ANYCOLORは72%だった。結果的に営業利益率でも、カバーが16.7%、ANYCOLORが37.1%と、倍以上も差が開いている。

ある業界関係者は「通常の営業利益率が40%近い水準にまで上がっているANYCOLORにとっては、コストがかかるフェスの規模が大きくなるほど、利益率が下がってしまうのだろう」と指摘する。その点、カバーはフェスの開催が収益性にマイナス影響を与える可能性は相対的に低いといえる。

フェスの採算悪化以上に、今回の決算で不安視されたのが、英語圏向けのVチューバーグループ「NIJISANJI EN」の苦戦だ。前期のNIJISANJI ENの全社売上高に占める割合は25%に達し、この先会社の成長を牽引すると期待されていた。しかし、直近の売上高は前年同期比で24.6%の減収となっており、収益柱であるグッズ販売が落ち込んでいる。

ANYCOLORの釣井慎也CFO(最高財務責任者)は3月14日に開かれた決算説明会で、前期に「特定商材が非常によく売れたこと」の反動が減収の一因としつつも、「NIJISANJI ENは少し課題がある。成長に向けての安定的な事業体制の構築が必要だ」と述べた。

会社によれば、研修などの体制構築が追いついておらず、新規Vチューバーのデビューが遅れている状況にあるという。今後は中長期で活躍できるVチューバーを輩出するために「スケジュールの遅延やコンプライアンスの課題が起きないような体制作りを進めていく」(田角陸代表)。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください