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実はアップルが「圧倒的優位」に立っている分野 EV撤退、AI開発出遅れでも撒いている種

東洋経済オンライン / 2024年3月28日 7時30分

また、アップルはすでにプログラムコードの生成AIを試していることが知られており、Xcodeと呼ばれる同社の開発環境向けに生成AIを提供したり、マイクロソフトがそうしているようにワープロソフトのPagesや表計算ソフトのNumbers、プレゼンテーションソフトのKeynoteといった生産性ツールの機能として生成AIを組み込む可能性はあるのではないか。

より堅実なアプローチになる可能性大

いずれにせよアップルによる生成AIの活用は他社のそれと比べるとできることも少なく、より堅実な内容になるのではないかというのが筆者の見立てだが、この堅実さと、そこから生み出されるブランドへの信頼こそがアップルの人気の秘密とも言える。

実際、iPodやiPhone、iPadなども同時期に発売されていた他社の音楽プレーヤーやスマートフォン、タブレットと比べると派手な機能は少なかったが、それでも市場を席巻し大きなビジネス的成功を招いている。

もちろん、AI以外にも、さまざまな新たな事業の柱を模索するべく、映像コンテンツ制作や健康医療関連事業、アメリカで展開中のApple Cardなどの金融事業などさまざまな投資を行っている。

最近、同社の重役が積極的に謳っているのがゲーム関連の開発への投資で、2023年のWWDC(世界開発者会議)ではWindowsやゲーム専用機向けに開発済みのゲームを簡単にMacに移植するためのツールなどを提供している。

高性能なアップル製プロセッサーがゲーム開発において有利であることも盛んに宣伝している。Apple Arcadeと呼ばれるゲームのサブスクリプションサービスを通して世界中のトップゲームクリエイターたちとのネットワークも築いてきた。

ユーザーからの需要が大きくなればTVに接続して映像コンテンツを楽しむために使われていたApple TVを高性能ゲーム機に進化させるといったこともできる下地を築きつつある。

他社の10年先をいく環境への取り組み

こうした中で、アップルに今後も業界リーダーとしての地位を保証し続けることになりそうなのは、同社の環境への取り組みだと考えている。

アップルはすでに事業で必要とする電力を完全に再生可能エネルギーに移行しており、2030年までには同社のサプライヤー企業分の電力も再生可能エネルギーで賄う計画を発表している。また、新規開発の製品で使われているアルミやレアメタルなどの部材を同社のリサイクルプログラムから獲得するようになってきている。

気候変動への対応として環境への取り組みが重視される中、今後は他の製造業も少しずつこうしたものづくりの方向に転換する必要が出てくるが、アップルはすでに他社よりも10年ほど進んだ取り組みをしており、これが今後も製品の製造販売を主な事業としている同社に大きなアドバンテージを与え続ける、というのが筆者の見立てだ。

林 信行:フリージャーナリスト、コンサルタント

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