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実はアップルが「圧倒的優位」に立っている分野 EV撤退、AI開発出遅れでも撒いている種

東洋経済オンライン / 2024年3月28日 7時30分

アップルが今後、より安価な空間コンピューティング機器を出したとしてもしばらくはiPhoneに匹敵するほど利用頻度が高くなることはないだろう。そのことは発売直後、Vision Proを被って色々なことに挑戦してSNSを騒がせたインフルエンサーらの投稿が3月に入ってすっかり落ち着いたことからもうかがえる。

ただ、少し過剰品質とも言えるVision Proを今出しておくことで、数年後、もっと手頃な価格で同様の製品が作れるようになった頃には、「このアプリがあるから空間コンピューティングを使いたい」と思わせるアプリを充実させることができる。今はまさにその土壌づくりをしているところだ。

筆者は個人的には医療や建築分野での活用や新しい形のエンターテインメントの登場に期待している。

空間コンピューティングと並んで重要になるのがAI関連の開発だ。アップルはAI開発に関しては遅れているというイメージを持つ人が多いかもしれない。

しかし、人々が気づいていないだけで、すでに現在のiPhoneにも多くのAI機能が内蔵されている。

例えばiPhoneで音声アシスタントのSiriを呼び出して「建物の写真を見せて」と言えば、これまで撮り溜めた写真から画像認識をした建築写真を選んで表示してくれる。気になった花を撮影すると、写真の下に「i」という文字が現れて、それが何の花かを教えてくれるといった機能が備わっている。

ハード的にも2017年以降のアップル製プロセッサにはNeural Engineと呼ばれるAI関連の処理に最適化した機構が用意されており、iOS、iPadOS、macOSにもCore MLというNeural Engineを用いて高速にMachine Learning(機械学習)処理をするさまざまなソフトウェア機能があらかじめ用意されている。Macのハード/OSがAI処理に向いているため、Mac上でAI関連の開発や実験をする研究者やホビイストも増えつつある。

AI関連の人材採用には積極的だった

そもそもアップルは1990年頃から、AI関連の人材の採用に積極的だった。SGI、マイクロソフト、グーグルと渡り歩いたAIの第一人者、カイフ・リーも最初に勤めたはアップルだった(1990〜1996年)。

AIは2006年以降、ビッグデーターとディープラーニングという技術の登場で、飛躍的な進化を遂げ第3次AIブームと呼ばれる時代に入ったが、そうなって以降もアップルは積極的にAIの研究者を雇い続けている。

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