心理的安全性を説く100年前のアドラーの教え アドラー心理学で一番大事な考え方とは何か
東洋経済オンライン / 2024年3月30日 18時30分
「自己啓発の祖」とも言われるアルフレッド・アドラー。彼がおよそ100年前に提唱したアドラー心理学には、ビジネスパーソンの心に響く教えがたくさんあります。そこで岩井俊憲氏の編訳『超訳 アドラーの言葉』より一部を抜粋、再編集しお届けします。
「チームの仲間のために自分はどうすべきか」
アドラー心理学の本質には、「人間とは何か?」という問いがあります。
【画像で確認】アドラー心理学で大切な概念である「共同体感覚」とは何か?
人間は、個体で考えると弱い生き物です。弱いからこそ群れをつくり、協力し合い、道具を扱うようになったことから生き延びたという人類の種の歴史があります。
ゾウやトラ、クマより弱い人間が万物の霊長になれたのは、集団をつくり、協力し合ってきたからなのです。
そうやって生き延びた人間だからこそ、集団・社会・共同体というものの存在は重要です。
集団・社会・共同体なくして人間はない。それがアドラー心理学の基本にあるのです。
アドラー心理学で一番大事にしている考え方に「共同体感覚」というものがあります。
「共同体感覚」という言葉に耳慣れないものをもつ人もいるでしょう。また、アドラー心理学に関わる本を読んだことがある人なら、「あー、あれだ」と思う人もいるかもしれません。
アドラー心理学では「共同体感覚」という感覚を最重要コンセプトの1つに掲げています。「まず、これを学ばなければいけない」とも言っているくらいです。
ここで言う「共同体」とは、人間の集団のことです。ですから、小さいのであれば家庭や職場がそれにあたります。大きいものですと、地域社会、国家なども共同体です。
共同体感覚とは、共同体にいる仲間の人間に関心をもち、仲間を信じ、仲間の幸せや成長に役立とうとする信頼感や共感、貢献感をいいます。
さらには、所属している共同体に対して「居場所がある」「ここにいれば安心できる」と感じる所属感や感情を指します。
共同体感覚とは、こういった共同体に対する所属感・共感・信頼感・貢献感を総称した感覚・感情のことです。
アドラー心理学では、この共同体感覚を多くもつ人を、「社会のために自分は何ができるか」「チームの仲間のために自分はどうすべきか」を考え、行動できる人だと考えます。
カウンセリングや教育における目標ともみなされ、健全な精神のバロメーターだともいわれています。
アドラー心理学はよく「貢献の心理学」といわれますが、それはこの「共同体感覚」を重要視している姿勢からきているのです。
人間は弱いから目標に向かって努力する
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