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心理的安全性を説く100年前のアドラーの教え アドラー心理学で一番大事な考え方とは何か

東洋経済オンライン / 2024年3月30日 18時30分

私はよくビジネスマン向けにセミナーや研修・講演を行うのですが、上司と部下は、役割の違いであって人間の立場の違いではないとお話しします。

たまたま上司は、「上司」という役割をもっているだけで、部下より人間として上というわけではありません。人間に上下はないものです。

「心理的安全性」と「共同体感覚」

さらには、今、「心理的安全性」という言葉がビジネスの分野を中心に広がっています。

「生産性が高いチームは、心理的安全性も高い」。Googleが実践していることで有名になった考え方です。意見を言いやすく、お互い協力し合っているような心理的安全性があるチームでは、建設的な活動ができるのではないでしょうか。

この心理的安全性と、先ほどアドラー心理学で大切な概念とお伝えした「共同体感覚」は、非常に近い考え方なのです。

共同体感覚とは、共同体に対する所属感、共感、信頼感や貢献感などを総称した感情・感覚になります。

共同体に対して「居場所がある」「ここにいれば安心できる」という所属感をも含むのです。

社会の中に居場所がある、この組織にいれば安心だと思える、そういう感覚も大事にしているのです。そういう感覚があるからこそ、人は自分らしさを生かしてのびのびと貢献できるのだといっています。

こうした点から、「心理的安全性」と「共同体感覚」には近しいものがあると感じます。

100年前に語られたアドラーの言葉が、今も新しく受け止められるものであることに驚きを禁じえません。

「貢献の心理学」といわれる理由

人はそれぞれ違って当たり前、もちろん能力にも違いがあり、遺伝的に違うこともあります。個性もバラバラです。

1人ひとり違う人間が集まる共同体であっても仲間に信頼感をもち、自分の役割を果たし、仲間のために何ができるか、社会のためにどうすべきかを考えることが大切なのです。これが共同体感覚です。

この共同体感覚は、「お互い仲良くしよう」「ベタベタしよう」というのとはまた違った考え方になります。信頼関係やパートナーシップがあるうえで、お互いの共通の目的のために自分は何ができるかを考えることといえます。

2023年、WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)で日本の野球チームは優勝しました。大谷翔平選手の目覚ましい活躍もあって記憶に残っている人も少なくないのではないでしょうか。

個性も能力も異なるプロ野球選手たちですが、しかしながら、慣れ合うように仲良くしたわけではないでしょう。「仲良くご飯を食べに行って」とか「仲良くお話しして」というわけではありません。

お互いを尊敬し合い、信頼し合い、チームが勝つためには何ができるか。それを1人ひとりが考え、行動した結果ではないでしょうか。

このWBCの例のように、共同体のため、つまり家族のため、チームのため、組織や会社のため、社会のため、「自分は何ができるか」という貢献の視点をとても重要としたのです。

アドラーが「貢献の心理学」と言われるのは、まさにここにあるのです。

岩井 俊憲:ヒューマン・ギルド代表

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