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斎藤幸平氏「大学で『古典』を読むべき理由」 新入学生に贈る令和版「大学で何を学ぶか」

東洋経済オンライン / 2024年3月30日 10時30分

斎藤:私の親は学者でもなく、特段、文化資本が厚い家庭に育ったわけではありません。私自身、高校生の頃は、勉学よりサッカーやバンドに夢中という学生生活を送っていました。

しかし、イラク戦争や自衛隊のイラク派遣などのニュースを見る中で、受験のための暗記中心の勉強に疑問を持ち、もっと自分の頭で考えなくてはいけないと思うようになりました。それで、まぁ単純といえば単純なのですが、アメリカのリベラルアーツで幅広い視点から学びたいと考えるようになりました。ですから、ハーバード大学やイェール大学といったアイビーリーグで政治学とか経済学とか専攻を決めてしまうのではなくて、いわゆる小規模のリベラルアーツ・カレッジにこだわりました。

堀内:すごく早熟な子供だったのですね。日本には、そもそもリベラルアーツ教育に特化した大学というのはほとんどありませんから、高校生の頃に、アメリカのリベラルアーツ・カレッジがハーバード大学より良いと思うというのは、なかなかできることではないですね。

ここからは大学教育についてお話をうかがいたいのですが、現在、ご自身が身を置かれている東大も藤井総長のイニシアチブの下、2027年秋をメドに学部横断的なリベラルアーツのプログラム「College of Design(仮称)」をつくる検討を進めているようです。こうした動きについて、斎藤さんはどのように思われているのでしょうか。また、ご自身は学生をどのように教育しようと思われているのか。そのあたりのお話をお聞かせいただければと思います。

なぜ古典を読むべきなのか

斎藤:自分は下っ端の教員ですので、偉い方たちの話には関わっていないのですが(笑)、リベラルアーツを重視するという方向は賛成です。私自身の経験からもリベラルアーツは大切と思っていますし、教育者としてはやはり古典に重きを置いています。

私がアメリカのリベラルアーツで学び、日本での教育実践においても重視しているのは、古典と向き合うことで学べるクリティカル・シンキングやロジカル・シンキングです。もちろん、ビジネスマンの方には多くの古典を読破するのは難しいので、「1冊でわかる〇〇」といった入門書があってもよいのですが、やはり、コスパ・タイパを度外視して、自分でしっかりと古典を読みながら考えるということを定期的にしてほしいと思います。古典に直接触れることでしか得られないものが必ずあるからです。

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