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京王井の頭線、四季の花咲く沿線と「7色の電車」 桜咲く春や梅雨のアジサイ、稲穂実る秋の田園

東洋経済オンライン / 2024年3月30日 6時30分

満開の桜を横目に走る京王井の頭線の電車(撮影:南正時)

古い話で恐縮だが、子供のころに見たSF映画の冒頭、雨の中をグリーン色の前面2枚窓の「湘南顔」タイプの電車がホームに進入してくる場面があった。電車を待つ蛇の目傘に真っ赤なレインコートの人物が鮮やかだった。シーンは変わり、この高架駅で近隣の天文台に勤務する科学者が下車し、居酒屋「宇宙軒」に向かう。

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DVDで改めてこのシーンを見たとき、グリーン色の電車の行先表示が「渋谷・吉祥寺」で、電車は1900形(1954年製造)であることを発見した。高架の駅は京王井の頭線の高井戸駅だったのだ。この映画は日本初のSFカラー映画『宇宙人東京に現わる』(1956年1月公開・大映・監督:島耕二)。高井戸駅ロケは前年の秋に行われた。カラー映画の黎明期で、色彩設計と宇宙人のデザイン設計は画家の岡本太郎が担当した異色の映画だった。

四季を感じる都心の電車

筆者は渋谷区に40年近く住んでいたこともあり、井の頭線は筆者の散歩コースだった。とくに渋谷駅南口から神泉駅近くに引っ越してからは、井の頭線の四季折々の写真撮影に出かけていた。もともと親近感のある路線だが、この映画を改めて見てより親しみをもつようになった。

現在は、若干の形の違いや7色のバリエーションはあれど、車種が1000系の1種類だけということもあり「撮り鉄」の人気はいまひとつだが、井の頭線ほど短区間の路線ながら四季のうつろいを感じさせる路線も珍しい。今回はこれまで筆者が親しんできた「四季の井の頭線」をテーマとして取り上げたい。

京王電鉄井の頭線は渋谷から吉祥寺まで12.7kmを結ぶ路線で、1934年の開業から今年2024年で開業90周年だ。同じ京王電鉄の路線でも、京王線の軌間は特殊な1372mmであるのに対し、井の頭線はJR在来線などと同じ1067mmである。

現在運行されている車両は1000系の単一形式で車両ファンには今一つ話題に乏しいが、井の頭線の車両は編成ごとに異なる7色のカラーリングを施した「レインボーカラー」で、色を選んで電車に乗る楽しみもある。だが、井の頭線の魅力は何といっても沿線に特徴ある駅と共に行楽地が多いことにある。ここでは長く沿線に住んだ筆者のお勧めの散歩コースといったスタンスで井の頭線を紹介したい。

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まず始発の渋谷駅に向かう、JR渋谷駅から連絡通路を経て井の頭線改札に至るが、途中のマークシティの通路にある岡本太郎の大壁画「明日の神話」はぜひ見ておきたい。

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