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「物価と賃金の好循環」は本当に持続可能なのか 「勝負の3年目」となる2025年に必要なものは?

東洋経済オンライン / 2024年3月30日 8時30分

今やアメリカはGDPで日本の約6.5倍、人口で約2.8倍、ゆえに1人当たりGDPでは2.4倍相当となる。確かに為替レートの影響もあるとはいえ、1990年代半ばには「アメリカは人口でもGDPでも日本の約2倍」と覚えていたことを思い出すと、まことに隔世の感がある。なるほど、これではニューヨークのラーメン一杯が3000円するのも無理はない。とにかく日米の経済には、恐るべき差がついてしまったのだ。

名目賃金上昇率がしっかり消費者物価を上回るアメリカ

その簡単な謎解きとして、閣僚会議資料は「アメリカの消費者物価(CPI)上昇率と名目賃金上昇率」のグラフを載せている。2000年以降の平均値をとってみると、アメリカのCPIは前年比+2.6%、名目賃金は+3.2%で推移している。

この間にはリーマンショックがあったし、新型コロナによる落ち込みもあった。それでも平均すると2~3%台のプラスとなっている。それから過去3年のインフレ期には、当然、CPIが上振れしているのだが、直近の2023年10~12月期を見るとCPIが3.2%で賃金上昇率が4.6%となり、「賃上げ」のほうが上回っている。つまり稼ぎに追いつく貧乏なし、ということだ。

それでは日本はどうだったかと言うと、資料19ページに「春闘賃上げ率と物価上昇率」のグラフが載っている。CPIは少なからぬ部分が水面下、すなわちマイナスとなっている。なにしろ月例経済報告では、2001年4月から2006年6月と2009年11月から2013年11月を「デフレ」と認定している。2000年以降の直近23年間のうち、実に9年2カ月がデフレであった、という事実は重い。

他方、ベースアップは、「ほぼゼロ」の状態が長く続いてきた。つまり、賃上げはなかったけれども、物価も上がらなかったから暮らしはなんとかなった。でも、税や社会保障負担の増加分だけ確実に苦しくなった、という近年の状況が浮かび上がってくる。

そうか、そういうことであったか。やはり「物価と賃金の好循環」は大事なのである。日米経済の過去20年を振り返ってみると、そこに大きな違いがあったのだ。

賃上げを受けて、個人消費が伸びるのか

ただしご案内の通り、日本経済の硬直した「物価と賃金」の構造には現在、風穴が開きつつある。3月15日には、連合が春闘の第1回回答集計を発表した 。

「今年は相当に高い数字が出るぞ。エコノミスト予想平均の3.7%なんかでは済まないだろう」と筆者は踏んでいたけれども、前年比5.28%という数字を見て思わずのけ反った。いわゆる「定期昇給分」が1.6%として、ベアは約3.7%になる。これなら「2%の物価目標」に負けない水準だ。ちなみに昨年の賃上げ率は3.58%であった。

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