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王者・アパホテルの「北米進出」戦略が超スゴかった 逆輸入と世界戦略を視野に、欧米でブランド確立へ

東洋経済オンライン / 2024年3月31日 12時0分

他方、アメリカやカナダは人口が増えており、観光、ビジネス需要も高い。つまり北米市場で実績を重ね、知名度を高めることは、国内外でのリスクヘッジとなるのだ。

アパの2027年までの中長期計画では、コーストの当面の目標は、1万室への拡大だ。コースト(Coast)とは英語で海岸の意味。その名の通り西海岸沿い、シアトルやポートランド、サンフランシスコ、サンディエゴなど大都市圏を中心に拡大を考えているという。

「特にシアトルはMicrosoftやスターバックスコーヒーなど、世界的企業が集中する魅力的なエリアです。1ホテルのみならず、複数のオープンを考えています。他エリアでも、北米1位を目指してM&Aを進め、FCも増やしていく予定です。その先の世界的な戦略も視野に、海外シェア率を高めていきたいと思っています」と元谷氏は未来を見据える。

北米から日本に視点を戻すと、国内最大のホテルグループはどこへ向かっているのだろう。2023年12月、アパは大江戸温泉リート投資法人(2024年2月に日本ホテル&レジデンシャル投資法人に改称)の資産運用会社の全株式を取得した。リートを活用して、より多くのホテルオーナーにアパホテルFCに参入してほしい狙いだ。

「FCは初期投資が重たいですが、それをリートが持つことで、賃貸借でFCを増やすという事業形式が可能になりました。元々、アパブランドは9割が直営です。不動産としてホテルを長期保有すればするほど、土地も建物も減価償却して安定した経営ができますから。

また、既存のFCホテルをリートに売却し、FCオーナーが新たな投資をできるように支援したり、リートがホテルを取得して、FCオーナーに運営してもらう形も考えています。リートの活用を通じてFCネットワークの拡大を狙い、事業の可能性を広げていきたいですね」(元谷氏)

既存のアパブランドの戦略としては、大阪、名古屋、福岡などの大都市圏を中心に展開してきたこれまで同様、昼間人口が多いエリアへ拡大していく。すなわち、経済活動が活発で、観光需要が高いエリアだ。

「日本代表を応援する」というベクトルで一丸に

一見盤石な巨大グループだが、従業員3500人を抱える巨大さゆえの悩みもある。2023年3月、アパは日本サッカー協会(JFA)のナショナルチームパートナーに就任。男女代表チームをはじめ、フットサル、ビーチサッカーほか、サッカーに関する日本代表チームの公式スポンサーになった。目的は、全従業員が同じベクトルを向くフラッグにするためだ。

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