日産の新中計「3年間で100万台増販」の現実味 成長戦略を打ち出すが部品会社からは厳しい声
東洋経済オンライン / 2024年3月31日 13時0分
「数字目標が多く並び、(日産自動車の)コミット文化がよく表れている。ただ、どうやって増やすかの『How』の具体的な説明がなかった」。ある日産系サプライヤー首脳はそう印象を語った。
【グラフで見る】日産は、右肩下がりだった販売台数を「3年間で100万台増やす計画」を打ち出した
3月25日、日産は2026年度までの中期経営計画「The Arc」を発表した。3年間で30車種の新車を投入することで、グローバル販売台数を2023年度の約355万台から100万台増やす。売上高営業利益率は今期見通しの4.8%から6%以上へ引き上げることを目指す。
内田誠社長兼CEOは、「この計画によって日産は価値と力をさらに向上させていく」と宣言した。それでも、冒頭のようなサプライヤーの反応が出るのは、日産の近年の中期経営計画は未達が続いており、グローバル販売台数も2017年度をピークに右肩下がりとなっているからだ。
30車種の新型車で攻勢
もっとも、一応「How」はある。30車種の新型車の投入だ。
30車種のうち16車種を電動車、14車種をエンジン車とする。電動車では、電気自動車(EV)は8車種にとどめ、独自のハイブリッド車(HV)「e-POWER」を4車種、プラグインHV(PHV)も4車種を投入する。
世界的にEV販売が減速する中、EVだけにこだわるのではなく、エンジン車、HV、PHVとバランスよくラインナップすることで、主要市場のすべてで台数を伸ばす野心的な計画となっている。
もっとも多い33万台増を計画するのが北中南米市場。
中心となるアメリカでの販売台数は、2017年度の159万台から2022年度には76万台と半減以下に落ち込んだ。半導体不足の緩和によって2023年度は11カ月累計で2割増となっているが、低水準であることは変わりない。ここにe-POWERやPHVを含む7車種の新型車を投入することで挽回を図る。
アメリカはカルロス・ゴーン元会長時代にインセンティブ(販売報奨金)の乱発で台数を追った。結果、収益性は低下しブランドも棄損した。その反省からインセンティブ頼みからの脱却を図っている最中にコロナ禍が直撃したため、台数は減ったものの収益性は改善傾向にある。
再び拡大へ向けてアクセルを踏むことになるが、規模と収益性を両立できるかはわからない。
中国はパートナー戦略で反撃
その北米以上に視界不良なのが、20万台増を目指す中国市場。
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