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日経平均が最高値を更新するための「2つの条件」 日銀は緩和的な政策を継続する可能性が高い

東洋経済オンライン / 2024年3月31日 8時30分

では、日本全体の賃金動向を把握するためには、どの経済指標が重要になるかといえば、それは厚生労働省が発表する毎月勤労統計である。これは日本で最も代表的な1人当たりの賃金を捕捉する指標で、基調的な賃金上昇率を把握する際に最も重視されている。

ここで、毎月勤労統計の数値を確認すると、2023年度入り後は基本給に相当する概念である所定内給与の伸びが1%台後半~2%付近で推移している。約30年ぶりの伸び率とはいえ、2023年春闘賃上げ率(ベア相当部分の2.1%)よりもやや低い数値となっている。

なぜ日銀は緩和的な金融政策を続けると言えるのか

また、残業代や賞与・一時金を含めた現金給与総額で見ると、2023年度入り後の平均値は1%台前半と加速感に乏しいが続いている。ここからは(1)労働組合のない中小企業の賃上げは控えめである、(2)春闘で高い賃上げを約束した企業も、実際は総人件費を抑制するために残業代や賞与・一時金を減らした可能性が浮かび上がる。

理由はともかく、実際の給与は春闘の賃上げ率ほど上昇していない可能性が高い。したがって、2024年度入り後の(毎月勤労統計で示される)賃上げ率は春闘の結果ほど強くならないと想定され、日銀の利上げは控えめになると考えられる。

これらを踏まえ、筆者は日銀が10月に政策金利(無担保コール翌日物)を0.25%に引き上げるのではないかと予想している。この見方が正しければ、株式市場では日銀の緩和的な金融政策は続くとの安心感が広がるだろう。今後の日経平均株価の中心的なレンジは3万8000~4万1000円になるのではないか。

今後、株価がこの予想よりも上振れるとしたら、どんな要因があるだろうか。現時点で金融市場が織り込んでいなそうなものといえば、以下の2つがある。

まずはFRB(アメリカ連邦準備制度理事会)の利下げである。インフレ率が緩慢ながらも低下基調にある現状、「年内利下げ開始」という緩い条件ならば、かなりの確度で織り込まれている。だが、次回(4月30日~5月1日)後の「6月(11~12日)実施」となると、市場参加者は半信半疑である。

その点、ジェローム・パウエル議長が「1月のインフレ指標はかなり高かったが、季節的な影響があったと考えられる」「1月と2月分のインフレ指標を併せて考えても(インフレ率が低下していくという)全体像は変わらない」(括弧内は筆者)として、足元のインフレ再加速の兆候を大きく取り扱わない姿勢を示したことは、重要な意味を持つかもしれない。

アメリカの利下げと日本企業の変革が今後のカギ

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