日経平均が最高値を更新するための「2つの条件」 日銀は緩和的な政策を継続する可能性が高い
東洋経済オンライン / 2024年3月31日 8時30分
このパウエル議長の発言には、インフレ率が2%付近まで低下していくことを最後まで見届ける必要はない、という含意があるように思える。そうであれば、6月に利下げ開始があってもさほど不思議ではない。仮に6月以降、四半期に一度のペースで利下げが進むことになれば、アメリカでは金利低下と株高の展開が想起される。
その場合の日本株はどうか。円安は一服するものの、世界的な株高の中でやはり上値を追う展開になるのではないか。
ここでのもう1つのポイントは日本企業の変革だろう。2023年の本決算発表時に、企業が東京証券取引所の資本効率改善要請に応える形で株主還元策を強化したのは記憶に新しいところだが、中にはじっくり対応を協議していた企業も多いと考えられ、企業が2024年の本決算発表時に大規模な株主還元策(自己株買い・増配)を実施する可能性もある。
もちろん、手元流動性が潤沢だからといって、その資金を自己株買いに回す対応策をめぐっては「その場しのぎ」との批判もある。だが、それでも株主から見れば、資本をため込むよりもはるかによい動きと言えるだろう。
今年も資本効率改善策が、投資家を満足させる可能性は相応に高いとみている。もっとも、これらが「逆」に出れば、株価は3万8000円を下抜ける可能性がある。FRBの利下げが遅れたり、日本企業の変革が停滞したりすれば、投資家の失望を誘うおそれがある。
(当記事は「会社四季報オンライン」にも掲載しています)
藤代 宏一:第一生命経済研究所 主席エコノミスト
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