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「自動運転トラック」の実用化、中国の鉱山で先行 スタートアップの易控智駕科技が143億円調達

東洋経済オンライン / 2024年4月1日 16時0分

中国の大型鉱山では自動運転車両が実用化段階に入った。写真は新疆ウイグル自治区の露天掘り炭鉱を走行するイーコンの自動運転トラック(同社ウェブサイトより)

鉱山用車両に特化した自動運転システムの開発を手がける中国の「易控智駕科技(イーコン)」は3月12日、最新の資金調達ラウンドで3億元(約61億円)超の出資を獲得したと発表した。

【写真】イーコンの遠隔運行管理システムを導入した自動運転トラックの指令センター(同社ウェブサイトより)

今回のラウンドでは、イーコンの既存株主である国有投資会社の興杭国有資産投資と、同じく国有鉱業大手の紫金鉱業が共同でリード・インベスターを務めた。2023年11月に実施した資金調達を合算すると、同社はわずか半年弱で総額約7億元(約143億円)の出資を集めたことになる。

イーコンは2018年に創業したスタートアップ企業だ。遠隔操作で走行する鉱山用トラック、それらの車両に組み込む自動運転システム、自動運転トラックの運行管理システム、異なるデバイス間の協調システムなどを開発・販売している。

2024年末までに1000台目指す

「鉱山では(一般車両や通行人がいない環境を利用して)自動運転車両の商用化をいちはやく実現できる。採掘現場に投入されるイーコンの鉱山用自動運転トラックは、2024年末までに1000台前後に達するだろう」

イーコンの共同創業者で董事長(会長に相当)を務める張磊氏は、声明のなかでそう述べた。張氏はエンジニア出身で、中国の大手バスメーカーの宇通客車で自動運転技術の開発に携わった経験を持つ。

もう1人の共同創業者でCEO(最高経営責任者)を務める藍水生氏は、インターネット関連やEV(電気自動車)関連の企業をいくつも創業した「シリアルアントレプレナー(連続起業家)」だ。藍氏はかつて、鉱山用輸送機器を手がける上場企業の主要株主に名を連ねたこともある。

イーコンは2020年以降、新疆ウイグル自治区の大規模な露天掘り炭鉱であるジュンガル東部炭鉱や天池南部炭鉱などで、鉱山用自動運転トラックの試験運用プロジェクトを立て続けに受注した。

同社によれば、ジュンガル東部炭鉱では2022年6月から無人の自動運転トラックの常時運用を開始し、現時点で13台が稼働している。また、天池南部炭鉱でも2022年12月から常時運用が始まり、現在の稼働台数は100台近くに上るという。

自動運転システムは一般公道での実用化が待たれて久しいが、技術的なハードルに加えて、(事故発生時の責任の所在など)法規面の難題にも直面しているのが実態だ。その点、鉱山という閉鎖された空間ならば商用ベースの自動運転システムを実現しやすい。

複数のライバルが受注競う

中国では2017年以降、複数のスタートアップ企業が鉱山用車両向け自動運転システムの開発に参入。採掘現場でのテスト運用を重ねてデータを蓄積し、運用環境の最適化を進めてきた。

その結果、いくつかの先行企業は自動運転車両に搭載するシステムから、道路側に設置する(センサーなどの)装置、車両の遠隔運行管理システムまで、すでにフルセットの製品群を作り上げた。

イーコンのほかにも、(国策研究機関である)中国科学院の自動化研究所からスピンアウトした「中科慧拓(ウェイトス)」や、北京航空航天大学交通輸送学部の教授らが創業した「踏歌智行(テージ)」などが、鉱山会社からのプロジェクト受注を競っている。

(財新記者:劉沛林)
※本文の配信は3月13日

財新 Biz&Tech

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