ハイラックスの伏兵「トライトン」の驚くべき実力 パジェロ、ランエボなき三菱の「攻めの一手」
東洋経済オンライン / 2024年4月2日 12時30分
『新明解四字熟語辞典』(三省堂)によれば、勇猛果敢とは「恐れることなく、自分の目的・目標に向かって、ひたすら前進すること」。なるほど、トライトンにはそうした雰囲気を感じる。
試乗会では、まずオフロード走行から始めた。旧知の増岡浩氏が同乗し、彼からトライトンの扱い方のレクチャーを受けながらコースを進む。
いまさら説明の必要はないかもしれないが、同氏は2002年と2003年にダカールラリーで日本人初の総合優勝連覇を成し遂げるなど、オフロード競技のトップ選手だ。
三菱の量産車開発にも直接関わり、直近では東南アジアを舞台にしたオフロードレースにトライトンの競技車両で参戦している、トライトンの本質をよく知る人物である。
対応力の広さがハイラックスとの違い
トライトンの4WDシステムには、三菱が「本格的クロカン(クロスカントリー)と乗用車のハンドリングを両立させる」と表現する「スーパーセレクト4WD-Ⅱ」が採用される。
後輪駆動の2H、フルタイム4WDの4H、センターデフロックする直結4WDの4HLc、そしてさらにローギアの4LLcをダイヤル操作で切り替える。
また、4HではGRAVELモードやSNOWモード、4HLcではMUDモード、SANDモード、さらに4LLcではROCKモードを設定。これらのモードは、ブレーキのコントロールなど総括的な制御をするもの。合計7つのモードがあるが、スーパーセレクト4WD-Ⅱに連動することで、さまざまな走行シーンに対応する。
この対応力の幅の広さが、技術面でデリカD:5やトヨタ「ハイラックス」との最大の差である。そんなトライトンで走り出してすぐに感じたのは、取り回しのよさだ。
ステアリングにしっかりとした手応えがあり、クルマ全体の動きの先読みがしやすい。現行のアウトランダーPHEVの初試乗もオフロードだったが、走り出してすぐに感じたステアリングの軽さとクルマ全体の軽快さが印象的だった。
はしご型のセパレートフレーム(ラダーフレーム)を持つトライトンと、オンロード重視SUVのアウトランダーPHEVを比較することにあまり意味はないかもしれないが、改めてトライトンの特性を強く感じた。
また、デリカD:5 での走行体験を思い出してみても、トライトンの走りはすべてにおいて新世代を感じさせる。
先代トライトンと比べると、ダブルウイッシュボーン式のフロントサスペンションは上下方向の作動領域であるストロークを増やし、それにともないショックアブソーバーを大径化。
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