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モスの「音楽レーベル」面白いけど厳しそうな理由 消費者のメリットは? バイト的にも魅力薄め?

東洋経済オンライン / 2024年4月2日 12時0分

一方で、「モスレコーズ」には「うまくいくのか?」と思わせる点もある。中長期的に成功するかは予断を許さない状況で、場合によっては、「黒歴史」になってしまう可能性があることも否定はできない。
その理由が、以下の3点だ。

①本社と各セクターとの温度差のすり合わせ

②取り組み自体の有効性とその評価の難しさ

③音楽とサービス業のタイアップは苦戦の歴史だった

以下、詳しく説明しよう。

①本社と各セクターとの温度差のすり合わせ

まず懸念されるのは、「本社と各セクターとの温度差」だ。各セクターとは、フランチャイジーだったり、デビューする予定のアーティストのことだ。

全店舗の9割がフランチャイズ店舗であるモスバーガーで、こうした新機軸がどこまで浸透するかは未知数である。この企画の1つの魅力として、デビューする予定のアーティストが、モスバーガーの店舗を使ったタイアップに臨めるということがある。

具体的にそれがどのようなものになるのかは発表されていないが、全店舗を挙げてのバックアップとなれば、もちろんフランチャイズオーナーたちの協力がなくてはできないだろう。

ただでさえ忙しいフランチャイズオーナーたちにとって、こうした取り組みへの協力が負担に感じられないか、そこは検討の余地があるかもしれない。アーティスト支援を全社的に継続していく体制の構築は容易でない。本部主導で始まった施策だけに、加盟店を巻き込んだ推進ができるかがカギとなる。

また、デビュー後のアーティストの音楽性と、企業側の方針とのすり合わせも難しい問題をはらんでいる。クリエイターの自主性を尊重しつつ、ブランドイメージに沿った活動を促すことはどのようにするのか。

もちろん、最初のオーディション段階である程度はモスのブランドイメージに沿ったアーティストが選ばれるのだろうが、彼らも同じスタンスで活動を続けるわけではない。その辺りのすり合わせが難しいだろう。

このように、フランチャイズオーナーやアーティストなどのセクターと、本社がどのようなコミュニケーションを取れるのか、未知数な部分がある。これが、継続的な活動の足枷になることも否定できない。

取り組み自体に有効性があるのか

②取り組み自体の有効性とその評価の難しさ

次に、こうした取り組みがモスバーガーへの入職を促すのか、ということも不明瞭だ。

そもそも、この取り組みの目的の1つが人材難の確保にあったことは最初に書いた通りだ。しかし、私の知り合いのアーティスト志望者数名に話を聞いてみたところ、彼らはすでに他のアルバイトをやっていたり、あるいは「タイミー」などのスポットバイトアプリでスキマ時間を利用して効率的に働いていたりして、「わざわざ、これを動機にモスバーガーにバイトを変えることはないかも」と言っていた。

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