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日本の在住外国人メディア、知ると驚く「深い世界」 日本の大企業も広告出稿「アルテルナチーバ」に迫る

東洋経済オンライン / 2024年4月3日 12時30分

2001年に創刊して以来なんと580号以上をつくってきたが、大事にしてきたのはまず外国人が日本で暮らすうえで必要な情報をしっかり掲載すること。

「例えばマイナンバーが始まったときは制度について記事をつくりました。日本人でもわかりにくい部分があったので、外国人はもっとわからないんですよ。だから細かいところまで説明したんです」(田井さん)

コロナのときは感染対策やワクチンについて毎号毎号ページを割き、また入管法の改正などビザ関連のニュースも追う。外国人労働者の増加や、ミス日本に外国ルーツのモデルが選ばれたことなど、外国人関連の出来事について読者の意見を掲載したリ、社説で論じたりもする。

印象的なのは広告の数々だ。ブラジル食材のスーパーマーケットやレストラン、ビザの手続きを代行する行政書士、翻訳会社、自動車保険、健康食品、美容整形、ポルトガル語の通じる歯医者、リサイクルショップ……実に多様な会社が広告を出していて、ブラジル人が日本でどんなサービスを必要としているのか、生活がよく見えてくるし、なにより彼らを取り巻く「経済」が手に取るようにわかる。

なにせ日本に暮らすブラジル人はおよそ21万人、日本国籍を取得した人を含めると25万人ほどのマーケットを「アルテルナチーバ」は持っている。そこをターゲットに出稿しようという企業によって雑誌は成り立っている。ブラジル人が起業した会社もたくさんあるし、日本の企業も並ぶ。

「いままでにJALやソニー、東芝といった企業に広告を出していただいたこともあります。広告代理店ともお付き合いしていますしね」(田井さん)

ほかにも日本の企業でいえば、クレジットカード会社や不動産関連、さらには宝くじの広告が掲載されることもある。

「うちの広告には人生すべてがあるって、よく冗談で言うんです。結婚するときのパーティー会場からケーキの手配、ブラジル人学校、それに離婚でもめたときの弁護士まで」(田井さん)

これまで日系企業、ブラジル人の企業、計4000社が広告出稿したというが、それだけの広告効果が「アルテルナチーバ」にはあると考えられているのだ。

その理由の1つに、読者の日系ブラジル人は「定住者」という安定したビザ(在留資格)を持って日本で生活していることが挙げられるだろう。

ブラジル人が日本に定着した背景

「技能実習」「特定技能」「留学」などの在留資格と違って「定住者」には就労の制限がなく、日本人と同じように自由に働ける。だから長年、日本で暮らしている人も多く、コミュニティーが広く深いし、日本社会になじんでいる人も多い。

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