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日本の在住外国人メディア、知ると驚く「深い世界」 日本の大企業も広告出稿「アルテルナチーバ」に迫る

東洋経済オンライン / 2024年4月3日 12時30分

そんな「定住者」の在留資格が日系人に与えられたのは1990年のこと。時はバブルの絶頂期、モノはばんばん売れたが生産現場はつねに人手が足りなかった。工場などでの労働は3K(きつい、汚い、危険)といわれ、避けられるようになったからだ。

選べるほどたくさんの仕事があったということでもあるだろうが、政府は労働力不足を補うべく、外国人に目をつけた。それも日系人だ。ブラジルやペルーなど南米には明治時代から昭和初期にかけて移民していった日本人の子孫が根を張っている。彼らを労働力として呼び込むことにしたのだ。

日系2世と3世、その配偶者は「定住者」という在留資格を取得できるようになり、愛知や群馬、静岡など全国各地の工場地帯を中心に日系ブラジル人が定着するようになったというわけだ。

就労の制限がないこともあり「アルテルナチーバ」には人材会社の広告もたくさん躍る。製造業がかなりの部分を占めるが、食品加工、介護、倉庫、トラックドライバーといった仕事もある。カップルや夫婦で働ける職場だとアピールする求人が多いのはブラジル人の人柄を反映しているのだろう。

「引っ越し代負担!」をうたう求人も目立つが、これは少しでも給料のいい職場に移っていくことがブラジル人の間ではよくあることだからだそうだ。

「残業たくさんあります」なんてキャッチもあって、とにかく稼ごうというバイタリティーを感じるけれど、一方で昔もいまも日本人があまり就きたがらない人手不足の職場を外国人が支えているという現実も「アルテルナチーバ」の広告からは浮かび上がってくる。そして、もう少し正規雇用の求人広告が増えていけば、外国人の生活もより安定するのではと思った。

日本企業がブラジル人を募集する理由

「アルテルナチーバ」には日系の人材会社もたくさん出稿しているが、そのひとつが株式会社ユタカだ。

「もともと外国人と仕事をするというイメージはなかったんですよ。ブラジルと言われてもサッカーとサンバくらいしかわからなくて」

そう語るのは専務取締役の川上清一さん。会長の鶴の一声で「アルテルナチーバ」に出稿し、ブラジル人を募ることになったが、始めてみれば彼らの根気強さに驚かされた。

「工場などの現場では日本人従業員は早く辞めてしまうことが多いのですが、ブラジル人は残ってくれて、長く働いてくれるんです」(川上さん)

だからいつの間にか、外国人材を扱うほうが多くなっていった。「アルテルナチーバ」にも20年近く広告を出している。つまりはブラジル人の企業とビジネスを、金銭のやり取りを続けているわけだが、

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