フレッシュネス知られざる「アボカド10年」の真価 今年で10年目を迎えた、春恒例の限定メニュー
東洋経済オンライン / 2024年4月5日 12時30分
ちなみに、常に生のアボカドを使っているのは、チェーンとしては国内外に40店舗を展開するクア・アイナぐらいだ。質のよい食材の数を確保するのが難しいことや、先に述べたように、取り扱いにも技術を要するため、店舗数の多いチェーンには向かない。例えばモスバーガーでも2022年に「とびきりアボカドコロッケ」を発売しているが、こちらはアボカドをコロッケにしたものだった。
ただ、かなり以前に生アボカドのメニューを販売したことはあったよう。2008年に数量限定で発売した「匠味アボカド山葵」や、2016年、2017年にはアボカドチリバーガー、アボカドサラダバーガーが発売されている。
いずれにせよ、どれも期間限定商品としての位置付けだ。
アボカド生産者とのコラボ
アボカドへの注力は、今回で3回目となる「メキシコ産アボカド生産者・輸出梱包業者協会(APEAM)」とのコラボレーションにも表れている。
日本はかつて国際市場において2番目に大きな市場であり、コロナ禍で影響を受け輸出が減っているとは言え、大きな期待が寄せられているようだ。
同協会からのコメントも得ることができた。
「フレッシュネスとのコラボを通じ、日本での消費をパンデミック以前の水準まで戻し、継続的かつ一貫した成長を遂げることが私たちの願い」(APEAM・国際市場におけるマーケティング責任者のミゲル・バルセナス氏)
なお生産に大量の水を必要とするため、近年、環境への影響を懸念する声も高まっている。この問題についてもAPEAMに聞いたところ「アボカド生産地であるミチョアカン州、ハリスコ州は雨季が長く、自然な生育を支える気候に恵まれている」と回答。また同協会として「アボカド生産の長期的な健全性と持続可能性確保を最優先事項とし、環境への影響を最小限に抑えながら、最高品質の農産物を世界中の消費者に届けられるよう努めている」とのことだった。
このように、アボカドという武器を持っているフレッシュネスではあるが、ブランドについてあまり知られていないのが残念なところだった。
しかしその状況にも、変化が訪れているようだ。
きっかけは、2023年の夏、人気バラエティ番組で取り上げられたことだ。放映後1〜2週間は客が通常の1.3倍になったという。中には「フレッシュネスを知らなかった」という客もいた。
結果、2023年の売上高は前年比150%になった。
なお、売上増には、逆説的ではあるが物価の上昇も関係しているかもしれない。
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