本田宗一郎氏に学ぶ、逆境の中で夢を叶える方法 経営危機の中で世界一のバイクレースに挑戦
東洋経済オンライン / 2024年4月6日 16時0分
偉人の伝記を読むと、最悪な日は、不幸な日ではなく、新しい自分が始まる日であることがわかる。本稿は、『今日は人生最悪で最高の日』から、本田宗一郎氏の偉人伝を抜粋・再構成のうえ、本田氏の挫折と“なぜ彼が復活できたのか”をご紹介します。
「機械が空を飛んでるうぅぅ!」
1903年は、ライト兄弟が世界で初めて空を飛んだ年。
その3年後の1906年に生まれた本田宗一郎。
実は、飛行機が宗一郎少年のハートに火をつけたのです。
宗一郎、小学校5年のときです。静岡県の和地山練兵場で、飛行機の曲芸飛行のイベントがあることを聞きつけます。
宗一郎の自宅から片道20キロ以上の距離があります。だけど宗一郎は、どうしても飛行機を見てみたい。その一心で、親にも内緒で、大人サイズの自転車に無理やりまたがり、凹凸のジャリ道をフラフラになりながらもひとりで向かったのです。
なんとか辿り着いたものの、入り口で大問題が勃発。「ええええ。入場料払うの!?」。
親に黙ってきた宗一郎少年に入場料を払うだけのお金などありません。そこで、宗一郎は大きな木を見つけ、その木によじ登った。すると、ちょっとだけ見えた……。
「おおおおおおおおおおおおおおおお。飛行機だ。機械が空を飛んでるぅぅぅ!」
宗一郎は、生涯、その感動が忘れられなかったといいます。
これが、後に、世界のHONDA(本田技研工業)を生み出すことになる、ミスターHONDAの少年時代です。
1954年。好景気が続いていた日本に不景気の波が押し寄せていました。
そんな中、「世界一でなければ日本一じゃない」と、本田宗一郎率いるHONDAは世界をめざすのです。まだたった1種類のバイクをちょろちょろと輸出しはじめたばかりのHONDAが、世界一のバイクレース、イギリスのマン島TT(ツーリスト・トロフィ)レースに出場すると宣言。
宗一郎47歳。本田技術研究所として創業して8年目のことでした。
このレースに出場するのは世界のトップメーカーばかり。ですから、ここでの優勝は、世界一のバイクメーカーであることの証明になります。しかし、まだ町工場が一皮むけたに過ぎなかったHONDAには無茶な挑戦でした。
しかし、ミスターHONDAの頭の中にあるのは、「世界一こそ日本一」。
目標が高いほど燃えてきます。それから1カ月後、HONDAの全社員に、ある文書が回ります。
「TTレースに出場、優勝するために、精魂を傾けて創意工夫に努力することを諸君とともに誓う」
苦しいときだからこそ、夢が必要
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