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「一流の料理人」の条件は?「伝説の農家」語る裏側 「食べる苔」「蟻のトッピング」…一体何が違う?

東洋経済オンライン / 2024年4月6日 13時0分

「どこかに、食べられる苔はないですか」

気候条件や植生、水質などを考え、浅野はめぼしい条件の土地をいくつか候補として挙げた。

カツオの藁焼きを一緒に食べながら、自身の料理への思いを語ったレゼピ氏は、帰りがけに「蟻を探しに長野まで行く」と言った。緯度が高いデンマークでは育たない柑橘の代わりに、酸味として使うのだと。

レゼピ氏が帰ったあと、浅野はさっそく自分の畑で黒蟻を捕まえた。

「本当に甘酸っぱい味がしたよ。どう使うのか興味が湧いたね」

「ノーマ東京」では、苔を使った料理とともに、「長野の森香るボタンエビ」という一皿が話題になった。ひと目見た瞬間、浅野はレゼピ氏が農場で発したある言葉の意味を理解した。

「『ぼくはおいしい料理を作ろうとは思っていない』とシェフは言ったんだ。おいしい、という当たり前の結果よりも、食べる人がどんなふうに感じるかが重要なんだろう」

非日常の空間であるレストランに求められるのは、「新しい出会い」だと浅野は言う。

目で見たときの驚きや新鮮さ、経験したことのない味わいや食感、思いもつかなかった食材の組み合わせ。そんな出会いを五感で楽しみ、「心で満足する」ことが大切なのだと。

Farm to Table――畑から食卓へ。そのひと続きの道を拓いた先駆者として、浅野は料理人とともに歩み、学んできた。

面白いと思ったアイデアは、すべて自分で試してから提案する。フィードバックを受け、また次に生かす。

土の上の日常の蓄積が、テーブルの上の非日常の結晶となるのだ。

*この記事の1回目:「伝説の農家」の極上野菜、3つ星シェフ食べた感想

*この記事の2回目:世界的シェフが大興奮「日本の"意外すぎる食材"」

成見 智子:ジャーナリスト

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