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なぜ「厚底シューズ」を見ると気分が悪くなるのか 日本企業が競争で勝てなかった根本原因は何か

東洋経済オンライン / 2024年4月6日 8時30分

これこそイノベーションだ、と多くのビジネススクールでは教えるだろう。それはそれで構わないが、本質的なポイントは、消費者との情報の非対称性を最大限利用したビジネスモデルであることなのだ。しかし、わかりやすく「何もわかっていない消費者からぼったくる」のがポイント、と言ってしまってはおしまいなので、誰も表立っては言わないだけだ。

アップルのジョブズも「優れたビジネスマン部分99%」

しかし、イノベーションと世間に思われているほとんどのビジネスモデルは、この構造だ。

アップルのiPhoneはブラックベリーを一般消費者に(ブラックベリーはプロ向けだ)売り込むことに成功しただけであり、パソコンでもIBMに比べ、技術的にもコンセプト的にも、画期的に新しいものではない。消費者にウケるように、見映えよく改善させたものだ。スティーブ・ジョブズは、イノベイターというより、優れたビジネスマンの部分が99%だったのである。

マイクロソフトが儲かったのも、ウインドウズという概念よりも、その後の「OS」と「Office」による囲い込みおよび独占禁止法との戦いをうまくやったからであることは、誰でも知っている。またテスラも、電気自動車そのものは独自技術ではないし、ただイーロン・マスクというブランドで急上昇してきただけで、失速し始めている。

こう考えると、儲けのほとんどは、テクノロジーでも、イノベーションでもなく、ただ、うまいビジネスモデルにより生み出されているにすぎない。

「そんなことはないはずだ」と思う読者は、新しいテクノロジーそのものである、新薬を考えてみてほしい。新薬開発に製薬各社はしのぎを削っている。近年AI(人工知能)が最も効果的に使われている分野でもある。しかし、新薬を発見しても、新薬自体ではまったく儲からない。

儲かるのは、「特許」という制度で新薬が守られているからだ。「特許」がこの世に存在しなければ、儲けはどこにもない。後発薬で儲ける会社はあるが、あれこそビジネスモデルで儲けているのであって、テクノロジーではない。つまり、新薬という偉大な発明自体は、価値はあっても儲けにはならない。「特許」が必要なのだ。

そんなことは誰でも知っているというだろうが、しかし、製薬に限らず、世の中ほとんどすべてのビジネスによる儲けは、新薬などの「発明」「発見」「画期的なテクノロジー」そのものだけではだめで、それをマネタイズ(収益化)する仕組みが必要なのだ。これも多くの人が知っているだろう。

実際は「発明1%、仕組み99%」

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