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外国人著名シェフが感動「日本の食材」の特別さ 香港→日本での出店を決めるまでの道のり

東洋経済オンライン / 2024年4月7日 12時0分

日本の食材はとても面白いし、日本人らしく抑制が利いています。一方、私が香港で使っていた食材は、もっと 「ストレート 」でした。例えば、私が使っていた松茸は、香りが濃厚で、「私は松茸です」と高らかに宣言しているようでした。

しかし、日本の松茸の香りはマイルドで控えめで、「あなたがシェフで、私の可能性を引き出し、アイデンティティを与えてください」と語りかけてくるようでした。

「泣いている赤ちゃん」を理解するように、日本の食材を使いこなすには忍耐と注意が必要です。一度慣れ親しんだ食材は、さまざまな可能性を秘めています。それだけに、温度管理、調理時間、食材のカットの正確さなど、細部にまで気を配る必要があるのです。

こうした細部を極めることで、素材の新鮮な味を保つだけでなく、うま味を最大限に引き出すことが可能になります。少しでも手を抜いてしまうと、食材が「泣いて」しまい、料理全体が台無しになってしまうのです。

繊細な日本の食材には、シェフに対する尊敬の念が込められていると感じました。しかし、その食材を使いこなすには長い時間が必要です。“彼ら”はシェフに創造する余地を与えてくれました。私は彼らと友達になりたいと思いました。

そこで、日本に移住することを考え始めたのです。

香港で有名になったばかりの私の考えを友人に話したら、みんなクレイジーだと思ったようです。しかし、シェフとして、素晴らしい料理を作ること以上に大切なことはありません。

LinkedInで知り合った「恩人」

助けてくれる人はたくさんいます。必要なのは、最初の一歩を踏み出す勇気でした。

ちょうどその頃、LinkedInで会ったことのない人たちと繋がり、メッセージのやりとりをしていました。その中に、当時楽天の副社長だった島田亨さんがいました。まさか著名人から返信が来るとは思わなかったのですが、島田さんは喜んで日本進出に協力すると言ってくれました。

そして2017年、私はすぐに日本に飛び、東京でキッチンを借りて島田さんのために料理を作りました。彼は私の料理を気に入ってくれて、貴重なアドバイスをたくさんくれました。手伝いたいとも言ってくれましたが、彼はレストラン業界の専門家ではありませんでした。

香港に戻ってから数カ月後、島田さんは大きなレストラングループの社長とコネができたと教えてくれました。

そして私は再び東京に飛び、その社長のために料理を作りました。社長も、彼のチームも私の料理を気に入ってくれて、西麻布でレストランを始めることになりました。彼はとても聡明な人で、レストランのためにクラウドファンディングを始めたので、開業前に資金を得ることができました。

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