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韓国総選挙「タマネギ男」政党の人気がなぜ高いのか 「法難」訴え曺国元法相の新政党が選挙戦の目玉に

東洋経済オンライン / 2024年4月7日 17時0分

彼自身も不正入学のために表彰状の偽造に手を染めたことなど多くの罪で検察によって起訴され、一審・二審とも有罪判決。大法院(最高裁)に上告をしてはいるものの、2024年内に棄却される公算が大きい。

有罪が確定すれば、たとえ今回の選挙で当選しても議員資格を失う(その場合は「祖国革新党」の次点候補が繰り上がり当選)のだが、人気は上がる一方となっている。

その背景には、娘の不正入学などで起訴されたことや、検察による長時間の家宅捜索が「やり過ぎ」「政治的な思惑に基づく強引な捜査だ」という曺国氏がこれまで一貫して主張してきた経緯がある。これが、進歩派の有権者たちの間で共感が広がっている。

というのも、文在寅政権は検察の権限を大幅に縮小する方針を打ち出し、その実行役に任命されたのがソウル大学法学部の教授であった曺国氏だった。対して、曺国氏をめぐる捜査の総責任者は、当時の検事総長・尹錫悦大統領だった。

曺国氏の視点からは、自分に対する捜査は検察弱体化の妨害が真の目的であり、だからこそ不当に過酷であったと映り、尹大統領は不俱戴天の仇となった。総選挙で新党を結成して与党の議席を1つでも多く削って尹大統領を苦境に追い込もうと燃えている姿は、さながら韓国ドラマの復讐劇だ。

また、選挙戦略として巧みなのは、曺国氏が「小選挙区では『共に民主党』の候補に、比例では『祖国革新党』に」と訴えて「共に民主党」との連携を確立したことだ。

実は、「共に民主党」では今回の小選挙区の公認候補選定で、同党の李在明代表が自身に近い人物を露骨に優先して現職を相次いで外した。これが大きな波紋を呼び、進歩派有権者たちの気持ちがだいぶ冷めているのだ。

2024年3月初めの時点では「野党惨敗」を予測する報道まで出ている。そこに曺国氏がさっそうと救いの手を差し伸べた形となり、今では両党を合わせた進歩派陣営が大勝するという予測が広がっている。

「法難」を訴えて与党に対抗

曺国氏は尹錫悦政権のことを「検察独裁」と断じる。そこには多分に自身が受けた取り調べと起訴への私怨が込められているのだが、4月10日に野党側が大勝して尹大統領を弾劾に追い込むことを目標に掲げるほどの強気だ。

私は4月2日に開かれた「祖国革新党」の仁川支部結成式に行ったのだが、会場は相当な熱気に包まれていた。会場に駆けつけた人たちは曺国氏の一言一言に大きく頷き、話が盛り上がると「チョ・グク! チョ・グク!」と連呼。その光景を見て思い浮かんだのが、「法難」という言葉だ。

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