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「従業員の愛着が薄い会社」が勘違いしていること 従業員エンゲージメントが向上しない理由

東洋経済オンライン / 2024年4月8日 15時0分

近年企業間で従業員の「エンゲージメント」を向上することへの関心が高まっていますが、具体的にどうすればいいのでしょうか(写真:mits/PIXTA)

人手不足が叫ばれる中で、近年企業間で従業員の「エンゲージメント」、すなわち、会社への愛着や思い入れを向上することへの関心が高まっていますが、単に待遇や福利厚生の改善だけではエンゲージメントは向上しません。では具体的にどうすればいいのでしょうか。長年「従業員エンゲージメント」のコンサルティングに従事し、『従業員エンゲージメントの教科書』を上梓した志田貴史氏が解説します。

従業員の「生の声」を拾えない調査

今春闘で大企業を中心に30年ぶりの賃上げが行われようとしています。これは企業のインフレへの対応でもありますが、一方で優秀な人材の定着と採用も視野に入れたものです。では金銭報酬を上げ続ければ、優秀な社員を採用し定着させ、活躍させることができるのか?答えはNOです。金銭報酬は大切なものではありますが、これだけでは不十分です。

そこで必要なのが非金銭報酬。お金ではないけれども、働く人にとって報酬に変わりえるものがいろいろあります。たとえば顧客から感謝される、上司から仕事のがんばりを認めてもらえる。会社の理念に共感し、その達成に関われるなど。このような非金銭報酬を高め、社員に仕事のやりがいや帰属意識を持ってもらおうと、現在多くの会社で検討しているのが、「エンゲージメント」です。

会社がエンゲージメントに取り組む際、最初の1歩が調査の実施になります。エンゲージメントのどこがうまくいっていて、どこが悪いのか、現状を正しくつかむ必要があるからです。実際、弊社でのエンゲージメント調査件数も年々増えており、導入企業は着実に増加しています。

問題は調査をやった後です。弊社でこうした調査の実施後、改善アクションに結び付けられているかアンケートをとると、84%が「アクションに結び付けられていない」という結果になっているのです。背景には、従業員の生の声を調査で収集・分析できていないことがあります。

例えば、某中堅企業の商社でのコンサルティングで、社員の生の声まで収集・分析できる調査を行ったところ、コミュニケーション面での真の課題を特定することができました。それは「現場であいさつが交わされていない」という根本的な問題。特に職位が上位になるほどこの傾向が高いこともわかりました。その後、会社では上司からあいさつや声かけを行う、「リーダーコール運動」を展開するようになりました。

すると翌年の調査ではスコアアップを確認できたと同時に、コミュニケーションが改善したことで、上司の部下へのタイムリーな助言やアドバイスが増え、業績向上も同時に実現したのです。

エンゲージメントを向上するのに必要な「土台」

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