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仮説と検証を使いこなせるチームはここが変わる 部下の自主性を引き出す「連携」の取り方とは

東洋経済オンライン / 2024年4月11日 10時0分

上司と部下が連携をとれる組織は、仮説の構築・検証を使った進化を遂げられるようになると著者は言います(写真:Ushico/PIXTA)

上司=判断する人、部下=決まったことを実行する人、という役割分担をしている組織はまだ多いのではないだろうか。

そのような組織では、上で決まったことを下に実行させるという、強要が必要になる。しかし、強要を続けると、人は受け身になり、しまいには言われたことしかしなくなる。

一方で、上司と部下が連携をとれる組織は、仮説の構築・検証による進化を遂げられるようになる。

連携をとることにはどのような効果があるのか。米海軍の原子力潜水艦「サンタフェ」で艦長を務めたマルケ氏の著書『最後は言い方』から紹介しよう。

リーダーとして、メンバーの自主性を発揮させたいなら、連携をとる必要がある。

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連携をとるとはどういうことか

連携をとるとは、上司、部下を問わず、他者から学び合うということだ。連携をとることには、次のような目的がある。

目的① 現実をより深く理解する

まず、現実の理解を深めることがある。これは、動画の一時停止ボタンのような役割を担う。すなわち、いまはどういう状況か、ハリケーンはどこにいるのか、潤滑油システムはどういう状態か、といったことを、他のメンバーと一緒に確認するのだ。

目的② 経緯を互いに確認する

また、どのように現状に至ったかを理解するときにも、連携が必要になる。要は、いま起きていることの前に何が起きたかを、互いに確認し合うのだ。これは因果関係を理解するのに役立つ。

連携をとることの3つ目の目的はこれだ。

目的③ よりよい決断を下す

連携をとることは、よりよい決断を下すうえでも有効だ。決断を下すことで、何を信じるかが決まり、それに伴う行動(赤ワーク)に専念できるようになる。

目的④ 適切な仮説を立てる

次の赤ワークにとりかかる(決まったことを実行に移す)前に仮説を立てる。これこそが、連携をとることの重要な目的だ。青ワーク―赤ワーク―青ワーク(決断―実行―決断)のサイクルは、組織に学習と成長を促す。

下した決断は、「やるべきこと」ととらえるのではなく、「試すべきこと」ととらえるほうがいい。つまり、決断したことは仮説だと認識するのだ。

仮説の検証と仮説の構築の両輪

決断するモードから実行するモードに移ったときには、すべてのプロセスが実験となる。実験は学習と改善を生む。実験とはそもそも、「直感から始まってそれを確かめること」である。この直感が「仮説」だ。

考えて決断する仕事(青ワーク)では、「仮説の構築」がいちばんの目的となり、赤ワークでは、「仮説の検証」がいちばんの目的となる。

ハリケーンの影響で2015年に沈没した貨物船エルファロを例に見てみよう(こちらの記事も参照)。

船内の赤ワークが実験的なアプローチで行われていたら、沈没という結末はどう変わりえただろうか。

もしエルファロが、正しく仮説を立てていたら

ハリケーンが近づく中で出港したエルファロには、大きな選択肢があった。

ハリケーンの直撃を受ける可能性がある直進ルートをとるか、それとも、より安全な迂回路となるオールドバハマルートを選ぶかだ。

通常ならこれは大して考えることではない。直進ルートのほうが距離が短く、早く効率的に進むことができるからだ。検討の余地はない。

だが今回は、直進ルートをハリケーンが脅かしていた。よって、船長は、次のような仮説を構築できたのではないだろうか。

直進ルートをとるつもりだ。ただしこの決断は、嵐がきているが、そのせいでスピードが落ちたり航行に悪影響が生じたりすることはなく、船を脅かすほど強力な嵐にはならないという仮説にもとづいている。

これはあくまでも仮説なので、今後赤ワークをしていく(作業をこなしていく)なかで、波の大きさ、風速、縦揺れの度合いなど、仮説の裏づけあるいは反証となる情報を、全員が集めてほしい。

それらの情報をもとに、ラムケイの分岐点であらためてルートを判断したい。

仮説を立てることで生じる違いとは

もちろん、次の決断ポイントを設けるだけでは仮説とは呼べない。

1、合理的な理由(嵐はそれほど強くならないという予想)にもとづいて、

2、決断を下して(直進ルートをとると決めて)ラムケイという終点を決め、

3、結果(波の大きさや船体が受ける影響の度合いなど、嵐の強度の尺度となるもの)を評価する方法を定める。

ここまでやって仮説だ。このような仮説を立てたことで、エルファロの船員の思考は改善に向かい、学習と成長を求めるようになる。

つまり、効率よく目的地に早く着ける直進ルートを進むという業務をただこなすのではなく、そのルートが適切かどうかも考えるようになるのだ。

そして、のちの決断を左右する、風、海、気圧の変化にもっと目を光らせるようにもなるだろう。

終点の設定により、船員は自分の目に入るものになおいっそう注意を払うようになり、自分が見たことや思っていることを積極的に周囲と共有したいと思うようになる。

その結果、ルートを変える必要性に関係する情報が適宜集まるようになり、ひいては、正しい決断へと至る道が開ける。

連携すると、前に進むことに対する責任感が生まれるのだ。

L デビッド マルケ:米海軍攻撃型原子力潜水艦「サンタフェ」元艦長

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