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「インドカレー屋」実はネパール人運営が多い理由 産業が育たず、貧困で世界有数の「出稼ぎ国家」に

東洋経済オンライン / 2024年4月13日 12時10分

「東南アジアや南アジアでは『コピペ』文化といえるような文化があるのは確かです。でも、それより驚いたのは『安心感がある』と話す人が多かったこと。ブローカーにお金を払って日本に来て、何年も頑張ってお金を貯めてようやく開業する。自分だけではなく家族の生活もかかっている。『絶対に失敗できない』という思いを強く持つ人が多くなるわけです。

だから、修行した店で出していたメニューや、成功している他の店で出しているメニューをそのまま出すことにつながるのです」

お金を払ってやっと辿り着けた海外。だからこそ、失敗はできない。このようなネパール人の思いが、コピペのメニューを作らせる。バターチキンカレーやナン、オレンジ色のソースがかかったサラダ……のように、決まりきったメニューがあるのは、そのためなのだ。

それも、スパイスを控えめにし、甘さを強調したものが「日本人にはウケる」と考えられ、コピペのように広まっていった。そして日本人のランチの予算に合わせた価格帯。

私たちが、安い、と思って食べるお馴染みのメニューには、ネパールの現実が刻まれている。

しかし、ネパールから日本にやってきて、厳しい状況に置かれる人もいる。インネパ増加の背景の一つであるブローカーをどう選ぶかによって、日本国内で厳しい暮らしを強いられる現状もあるのだ。

「経営者のネパール人から厳しい搾取を受けている人もいます。中には、月10万円以下で働く人もいますし、その中には社会保険の存在さえ知らされていない人も多くいる。怪我や病気をしたときに、病院で高額の支払いを求められる場合もあるのです」

その環境に耐えきれず、逃げ出す人や、アルコールに依存する人もいる。ちなみに、日本は諸外国に比べるときわめてアルコールの規制が緩いため、アルコール依存になるネパール人も多いという。

このようなブローカーの「負の側面」も説明しつつ、一方で室橋さんが強調するのは、ブローカーの存在は、ただ否定できるものではない、ということだ。

「ブローカーというと、いかにも悪そうなイメージを持ちがちです。でも、実際のところは、その存在のおかげで日本でそこそこ稼げている人もいる。だからブローカーに感謝する人がいることも確かです。中には、親戚に呼んでもらっていることもあり、その場合は本人たちにとってもブローカーという感じは薄くなるんですよ」

実際、日本にやってきて大きな成功を掴んだネパール人も多くいる。中にはカレー屋ではなく、普通に日本の飲食店の一つとして、他店と競争をして出店を伸ばすネパール人もいるという。こうした人は、ブローカーの存在を、肯定的に捉えるわけだ。

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