日仏夫妻始めた「KYOTOGRAPHIE」国際的人気の訳 京都に縁がなかった2人が立ち上げた経緯
東洋経済オンライン / 2024年4月14日 11時40分
「KYOTOGRAPHIEはクオリティと実現したいプロジェクトに集中しています。私たちは最高のスポンサーを見つける方法を知っていますし、彼らやアーティストと協力して仕事しています」とレイボーズさん。
あのシャネルもスポンサーになった
「誰からも指示されたくない」との理由から、KYOTOGRAPHIEは開催当初から、公的資金を使わずに開催しています。写真祭の目的は社会を変えることであり、最も重要なことは利益を得ることではなく、「毎年続けること」だといいます。
そうした「意思」を持つKYOTOGRAPHIEのスポンサー陣は非常に豪華です。初年度は、シャネル日本法人で会長を務める、リシャール・コラス氏がスポンサーに名乗りを上げました。通常、シャネルでは、シャネル以外のイベントのスポンサーになることはありませんが、コラス氏自身が写真や京都の町屋が好きだったこともあり、KYOTOGRAPHIEではシャネルのロゴを使うことができました。
このほかにも、アニエス・ベー、クリスチャン・ディオール、ルイナール、ケリング、ハースト婦人画報社などがスポンサーに名を連ねています。「ブランドから内容や見せ方を変えろと言われることはありません」とレイボーズさんはいいますが、それは2人の共同ディレクターが内容やセンスにこだわった企画を提案しているからでしょう。
とはいえ、始めてからの3年間は、多くの犠牲を払ったといいます。多くの人が「成功するはずがない、京都はとても難しい街だ。君たち2人がここで成功するのは不可能だ」と言いました。一方で、京都市長はこの日仏プロジェクトに非常に驚き、当初から協力的で、多くの場所を提供してくれた、といいます。
実際、KYOTOGRAPHIEの大きな特徴の1つは、寺社や町屋など歴史的建造物が会場になっていることです。例えば、今年は「誉田屋源兵衛 竹院の間・黒蔵」では、上海で結成されたアートユニット「Birdhead(バードヘッド/鳥頭)」の展示が行われるほか、建仁寺・両足院では、柏田テツヲさんの作品が展示されています。伝統と新しさをミックスさせたり、大胆な展示を行うことで、作品が新たな魅力を帯びるのです。
KYOTOGRAPHIEには毎年、メインテーマがありますがこれは夫婦で話し合って決めています。その年のニュースや環境を考慮してまず夫婦で決めてから、95%が女性である経営陣とそのアイデアを共有します。テーマに決まりはなく、夫婦の主観で決められることが多いのですが、「意味があり、サプライズがなければいけません」とレイボーズさん(2人の口からは「サプライズ」という言葉がよく出ます)。
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